丸亀製麺が「店舗のない丸亀市」で地方創生に取り組む真意 トリドール粟田社長に聞く:過去最高の営業利益(2/3 ページ)
コロナ禍で苦戦する飲食業界で好調なのが、「丸亀製麺」などを運営するトリドールホールディングス。丸亀市と地域活性化包括連携協定を締結した。粟田貴也社長兼CEOに、丸亀市と協定を締結した真意を聞いた。
加古川市発祥でなぜ「丸亀製麺」なのか
丸亀製麺の創業は2000年。第1号の店舗は兵庫県加古川市だ。当時の本社は神戸市にあり、現在は東京に移している。トリドールは焼鳥屋が発祥で、新たな業態として丸亀製麺を立ち上げた。
ただ、丸亀市には店舗はなく、過去に進出したこともない。讃岐うどんの店なのに、香川県内にも過去出店したのは3店舗だけで、現在は1店舗のみ。それなのになぜ丸亀の名前を冠しているのか。粟田社長兼CEOは複数の理由があると説明する。
「香川のうどんの製麺所を見て感動したことがきっかけです。その場で麺を作り、できたてを提供する製麺所のポリシーを受け継ぎたいと考えました。また、父親が旧制丸亀中学校の出身という縁もあり、シンパシーを感じていたこともあります。それに丸と亀って、縁起がいいじゃないですか(笑)。商売にとってこれ以上ない名前だと思い、丸亀の名前をつけました。当初は事業を大きくすることまでは考えていませんでした」
ただ、当初は丸亀や讃岐うどんを名乗ることに対して、地元やうどんファンからは困惑の声もあった。調印式で松永市長が、地元の反応を次のように説明した。
「丸亀市民はうどんに対するたくさんの意見を持っています。うどんに対する愛情もすごくありますので、丸亀でうどん屋が開業すれば、そこに対するいろいろな意見が出ます。その中には批判も出ますし、お褒めの言葉もあります。
丸亀製麺さんが伸びていく時に、たくさんの意見が出た中で、一部そのように捉えた部分もあるかと思います。けれども、決してそうではないと私は捉えています」
粟田社長兼CEOは丸亀製麺を創業後、さまざまな反応があったものの、丸亀市を頻繁に訪れるようになったことによって、地元との関係が変化してきたと感じている。
「創業当時は私たちもそれほど頻繁には丸亀市に足を運んでいませんでした。お客さまからの支持をいただいて店舗数が拡大していく中で、新人研修で丸亀市を訪れ、うどんの名店などを食べ歩くようになりました。15年ほど前は、社員の有志20人から30人で、香川丸亀国際ハーフマラソンに毎年参加していました。
店舗はないものの、丸亀市の皆さんと交流をしていく中で、もっと具体的な協力ができないかと思っていたところ、11年に私が文化観光大使に任命されました」
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