部下がドン引く 上司が「絶対にやってはいけない」育成法とは?:新任マネジャー駆け込み寺(3/3 ページ)
マネジャーの重要ミッションは部下の育成です。しかし気合が入りすぎると、少なからず空回りとなるのです。どこで間違えるのか、どうすれば部下を正しく育成できるのかを解説します。
ここでもう一つのフレームワークとして、「ティーチング」「カウンセリング」「モチベーティング」「コーチング」の4つを抑えておきましょう。
「ティーチング」は、具体的な知識やノウハウを教えることです。「カウンセリング」は、悩みに対して相談に乗り、解決策を一緒に考えながら提示してあげること。「モチベーティング」は動機付けです。「コーチング」は、「答えは全て自分自身の中にある」という前提で、本人が自律的に自ら答えを見るべく、その壁打ち相手となり、自己解決をサポートしてあげることです。
これを先の4タイプと組み合わせて実施します。
「人材」には、まずしっかり「ティーチング」してあげること。基本的な知識やノウハウを身につけることが必要な人です。また、動きの中で都度「カウンセリング」してあげることも大事で、「ティーチング」と「カウンセリング」で仕事に対する自信をつけてあげましょう。
「人在」には、「モチベーティング」が必要です。力はあるので、いまの仕事に意義やテーマをしっかり見つけてやる気を出してもらいましょう。うまくいくと見違えるようにパフォーマンスを発揮するのが「人在」です。
「人財」には、「コーチング」に徹するのが鉄則です。やる気も力もある人なので、逆に彼らに「ティーチング」や「カウンセリング」で介入することは、彼らのやる気をそぐことになります(彼らのほうから求められた場合は別です)。
「人罪」には、「ティーチング」と「モチベーティング」で、何とか業務力とやる気の改善を求めましょう。同時に「いつまでに、何を、どこまで」という納期・テーマをしっかり告げて、それが守れないならばのイエローカードを出すことも不可欠です。もしそれでも改善されないならば、異動などの対処を考える必要があります。
このように、個々のニーズとタイプ別の対応をとることで、あなたのマネジャーとしての育成プランは格段に効果的なものとなるでしょう。
マネジャーは誰しも部下の成長を願うものです。「自分こそが、部下を一人前に育ててやろう」という気持ちで育成プランに取り組み、実施することはとても大事です。
しかしそれとともに、部下というものは、育てるのではなく「(自分で)育つ」ものです。日々暖かく、ときに厳しく見守ってあげることこそ、実は一番の部下育成なのかもしれません。
著者紹介:井上和幸
株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。その後、現リクルートエグゼクティブエージェントのマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。2万名超の経営人材と対面してきた経験から、経営人材の採用・転職支援などを提供している。2018年、経営人材が集う会員制プラットフォーム「KEIEISHA TERAACE」を立ち上げる。また、著書には、『社長になる人の条件』『ずるいマネジメント』他。「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「週刊東洋経済」「週刊現代」「プレジデント」フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「WBS」その他メディア出演多数。
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