上司に大激怒される「悪い残業」と評価される「良い残業」 その違いとは?:プロが解説(3/4 ページ)
「残業しただけなのに怒られるなんて思ってもみなかったです」――納得がいかないと愚痴をこぼすのは、とある出版社で営業をしている佐藤さん(仮名、30歳男性)です。
悪い残業とは?
ここまでは法律や社内ルールの話をしました。ここからはマネジメントの観点からお話をします。「必要だからやってるのに良い残業も悪い残業もないだろ!」そう思われる方も少なくないでしょう。そういう方は良い残業(正しい残業)をされているのでしょう。ここでいうところの「悪い残業」とは、言い方を変えると「必要のない残業」という意味です。
誤解があるといけないのですが、ここで言っているのは必要のない仕事ではなく、必要のない残業ということです。会社が残業代を支払ってでもやってもらわなければならない仕事なのかどうか、ということです。つまり、残業する目的が誤っている人が一定数おり、ここではそういう残業を「悪い残業」としています。
悪い残業の代表例を挙げてみましょう。
(1)暇つぶし残業
これは若手社員に見られがちな傾向で、「合コンまでの時間つぶし」「デートの待ち合わせにはまだ早い」「部の飲み会が始まるまで」といったように、仕事の都合ではなくプライベートの都合に合わせてする残業です。
(2)先行き不安残業
これはもはやその人の性格から来るのでしょう。本来であれば3日後の午前中や、もっと先だと1週間後までに着手すればよい仕事も「今のうちにやってしまいたい」と残業をしてしまうのです。「何かトラブルがあったらどうしよう」と本来は仕事に余裕を持たせるために始めたのですが、それがそもそも余裕をなくしてしまっているのです。
(3)帰れまテン残業
何となく本人には気の毒なのですが、いまだに「自分だけ先に変えるのは申し訳ない」と言って意味なく会社に居残る残業です。上司のタイプや社風に影響されやすいのが特徴です。
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