「お先に失礼します」が言いにくい職場 残業がなくなる方法は?:蔓延る“義務的チームワーク”(2/4 ページ)
「何かと“チームワーク”といわれるので帰りづらいです」――こう話すのは、あるベンチャー企業に勤める松本さん(仮名、23歳男性)。松本さんの会社の社長は何かにつけてチームワークを重視しており、職場の雰囲気として“帰りづらい”が蔓延しているそうです。
残業は拒否できるか?
前述の通り、残業は「命じる」のが原則です。そして、「命じる」ことの根拠は就業規則や労働条件通知書において示されています。つまり、原則として残業を命じられた場合は、その命令を拒否することはできないのです。
よく、管理職の方から「残業をお願いしたら断られて困っている」という相談をされることがあります。これはそもそもの契約を理解していないことに原因があります。
そして、理解していないのは労働者だけではなく、管理職も分かっていないということです。残業は会社が必要に応じて命令できる契約になっています。そして、契約で決められている以上、契約を履行する義務があるというわけです。
「黙示の指示」は残業になる?
残業を語る上で避けては通れないのが「黙示の指示」です。これは、直接的には残業の指示命令をしていなくとも、指示命令をしたと判断できる場合には「残業を命じた」ものとして残業代の支払い義務が発生し、36協定などの残業時間の上限にカウントすることになります。ルール上は「残業を命じる」ことになってはいるものの、実際には個人の裁量に任せている会社は少なくありません。
松本さんのケースでは、実際には残業を命じていないものの、「黙示の指示」と判断される可能性が非常に高いです。その他、「黙示の指示」とされるものには、「そもそも残業をすることを前提とした業務命令」や「時間外に設定されたミーティング」などが挙げられます。
その他、とうてい所定労働時間では終わらないような業務量や締め切り設定になっている業務なども該当します。そして、最もありがちなのが、残業や休日出勤をしているのを知りながら放置していたような場合も「黙示の指示」があったとされるのです。
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