ZOZO最古参の役員が語る「前澤氏の退任」と「ZHD提携」、激動の裏側:対談企画「CFOの意思」(2/3 ページ)
「CFOの意思」第3回の対談相手は、ZOZOで取締役副社長兼CFOを務める柳澤孝旨氏(「やなぎ」は、正しくは木へんに「夕卩」)。創業社長・前澤氏の退任とZホールディングスとの提携という激動の裏側とは。後任社長に澤田氏が決定した際、自身も「辞められなくなった」と感じたというが、その真意とは?
嶺井氏: Zホールディングス側は担当者が来るのではなく、トップがミーティングに参加されているんですね。
柳澤氏: はい。Zホールディングスからは小澤(隆生取締役、専務執行役員 E-Commerce CPO)さんと、執行役員の方々が出席しています。こちらからは澤田と私、廣瀬(文慎 取締役兼COO)の3人で。
そのため、「これをやりたい」と言えば、その場で決められる、すぐに進められる。そのような環境を作ってもらえているのはありがたいですね。ZOZOにはファッションECのノウハウがあると理解してくれているので、われわれからの提案に耳を傾けてくれるのでしょうね。
嶺井氏: 提携することで、出店者はZOZOTOWNに出品すれば、PayPayモールにも出品できるようになり、集客が見込めるという訳ですね。
柳澤氏: 当社のバックオフィスのシステムを使い、PayPayモールにも出すかどうかを各ブランドが決められるようになっています。
銀行、コンサル、証券を経験 「いずれはベンチャーでCFOに」
柳澤氏のファーストキャリアは1995年に入社した富士銀行(現みずほ銀行)。約4年後にはNTTグループの経営コンサルティング(NTTデータ経営研究所)に転職し、約6年間在籍した。
経営コンサルティングを経験する中、世の中はちょうど第一次IT上場ブーム。「いずれはベンチャー企業でCFOになって、会社を成長させていきたい」という漠然とした思いを抱いていたという。
銀行、コンサルと経験してきたので「それなら証券のバックグラウンドの経験値も欲しい」と考え、みずほ証券に転職。それから1年未満で声がかかり、2006年にZOZOに入社した。
嶺井氏: 最初は監査役としての参画でしたよね。そこからどのような流れでCFOになられたのですか。
柳澤氏: はい、最初は常勤監査役でした。コンサルと金融側のバックグラウンドを持っていたので、09年4月にCFOになりました。
嶺井氏: CFOに就任されただけでなく、その後には事業の管掌もされていますね。
柳澤氏: 事業を管掌しているといっても、実は、あまり大きく変わっていません。当初から管理部門全般を管掌していましたし、一時期は海外事業を見ていたこともありました。
現在は、計測事業も管掌していますが、基本は管理部門を主に見ています。
嶺井氏: 上場されたタイミングと、その後の成長の中で、管掌されている領域は同じでも、規模の拡大に応じて役割はやはり変化されたでしょうか。
柳澤氏: そうですね。端的に言えば、「多能工」から「分業」に変化しました。1人でさまざまなことを行っていたのが、分業制に移行した、というのが変化の最大の特徴です。
上場前後は、管理部門も人数が少なく、みんなでわちゃわちゃしていましたから。
それが、上場して、規模が大きくなっていき、売り上げが数百億、1000億と成長するにつれ、経理、財務、IR、知財などを次々と部門化していく必要が出てくる。最初の頃は、自分も現場に手を出していましたが、それぞれのポジションに配置したスペシャリストを束ねてマネジメントするという具合に立場が変化してきました。
嶺井氏: 同じ「管理部門を見ている」といっても時期によって、担う業務、役割が変化してきたということですね。
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