スーパーで500ミリのコカ・コーラを見なくなった“なるほど”な理由:足りる? 足りない?(2/4 ページ)
再値上げ、再々値上げが続く中、工夫をこらして単価を上げている企業も存在します。その一例が、日本コカ・コーラです。
なぜ“再値上げ”“再々値上げ”をするのか
「値上げの幅が小さい」すなわち小さい金額の値上げは、良くない結果を招く場合があります。一見すると、顧客にとって望まれる形の値上げのように見えるでしょう。顧客が「1円でも安く買いたい」と思うのは当然だからです。
冒頭で紹介した「かっぱえびせん」や「サッポロポテト」といったスナック菓子や日本水産の缶詰、山崎製パンなどがこの「値上げの幅が小さい値上げ」に該当します。値上げの幅が小さいと、足元の原価率悪化に耐えられても、数カ月単位で変化する昨今の原価率には耐えることはできません。
ほとんどの場合、原材料が高騰し利益確保が厳しくなったため、原材料が上がった金額だけ値上げしよう(できるだけ値上げの幅を小さくしよう)と金額を決定しているものと考えられます。
ただ、消費者が他の商材と比べ金額に敏感になる食品や日用品を扱う消費財メーカーでは、数回の原価率悪化を見据えた大幅な値上げは難しく、現実的ではないというのが現状です。
そのため、この再値上げの波は、まさに仕方がない状況といえるのではないでしょうか。仕方がないとはいえ、短期間(数カ月スパン)での値上げが顧客にとって非常にネガティブな印象を与えるのもまた事実。まさに八方ふさがりといった状況です。
このような状況に対応するべく、値上げの波に先駆け工夫をこらして単価を上げている企業も存在しているのです。例えば、日本コカ・コーラがこれに該当します。
驚く人も多いでしょうか、おなじみの500ミリボトルは21年3月29日を境にほとんどのスーパーで販売されなくなりました。代わりに350ミリと700ミリという2サイズの新ペットボトルが販売されるようになりました。この施策の背景には顧客体験を科学したことがあります。
関連記事
- 常温で100日保存できる“おにぎり”誕生 どうやって開発したの? 担当者に聞いてみた
石井食品と、京都市で“1日100食限定”のステーキ丼専門店「佰食屋(ひゃくしょくや)」を運営するminittsが、常温で100日保存ができる「イシイの佰にぎり」を発売した。その開発秘話とは? - ビジネスホテルの“無料朝食”、気になる原価は一体いくら? 激化する“朝食合戦”から見るホテルの今
ホテルが朝食で特色を出そうとしていることは、宿泊者としてひしひしと感じる時がある。新たな施設の建設やリノベーションを施せば特色は強く打ち出せるが、コストはバカにならない。朝食は差別化のアイテムとして取り組みやすい部分なのだろう。 - ワークマンの人気商品「真空ハイブリッドコンテナ」 担当者も予想外なアウトドア以外のニーズ
キャンプ用品の本格展開を開始したワークマン。その人気商品の1つが「真空ハイブリッドコンテナ 4.6リットル」(2500円)だ。少量のドリンクや食料を保冷したり保温したりすることができるアイテムでSNSなどで話題に。担当者によると、アウトドアシーン以外でも活用されているという。 - スーツにリュックはもはや定番? エースの”薄いビジネスリュック”が好調な理由
かばん製造販売大手のエース(東京都渋谷区)が展開する「ガジェタブル」が好調だ2018年の発売から累計で24万個が売れたという。このほど、新たに「ガジェタブルEF」を発売。これまでの製品とは何が違うのか。担当者に聞いてみた。 - 一杯2000円のつけ麺が物議! プライシングの専門家がそれでも「安い」と話すワケ
神奈川の人気ラーメン店「らぁ麺 飯田商店」の価格改定がSNS上で物議を醸している。そのワケは、ラーメンが1600円、つけ麺が2000円と、従来のラーメン業界からするとかなり強気ともいえる設定にある。ラーメンの価格が多様化する中、適正価格が果たしていくらなのか、プライシングの専門家が解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.