コラム
「客が来ないから、バイトのシフトを勝手にカット」はOKなのか? 労働条件を変更したがる企業の“2つの誤解”:知識不足ではトラブルに(3/6 ページ)
長引くコロナ禍で企業業績は二極化していますが、飲食業や観光業企業の中には、賃金カットや勤務時間の短縮に踏み切るケースもあるようです。やむにやまれず「労働条件」を変更するときのトラブル回避の心得をアドバイスします。
労働条件通知書(雇用契約書)を整備していないこと
これは勤務シフトを減らす場合に、トラブルの原因になる点です。
社員が入社した場合は、労働条件を書面で通知することが企業には義務付けられています。正社員が入社した場合は整備している会社も多いと思いますが、パートタイマーやアルバイトについては労働条件通知書(雇用契約書でも可)を整備していない会社があります。
そうなると、そもそもの勤務日数や勤務時間といった労働条件が不明になり、トラブルの原因となります。
また、書類を作成している場合であっても、勤務時間を「勤務シフトにより定める」というように明確に契約で決めていない場合もあり、この点もトラブルの原因となります。トラブルを予防する上では、アルバイトやパートタイマーであっても、勤務日数や勤務時間を明確に決めておくことが望まれます。
休業手当に対する理解不足と支払い義務がグレーゾーンであること
勤務シフトを減らした場合の休業手当について、企業側がパートタイマーやアルバイトには支払い義務がないという間違った理解をしていることもあります。また、休業手当の支払い義務について、「企業に責任があるかどうか」はグレーゾーンである部分もあり、この点もトラブルの原因となります。
新型コロナなど予想外の事態により、業績悪化や事業環境の変化といったことが起こります。ここでは、賃金の引き下げといった労働条件の変更の3つのパターンをご紹介します(図表参照)。
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