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東急バスのEV自動運転バス 当面の目標は「路線バスの先」にある杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/8 ページ)

東急と東急バスが9月13日〜15日に多摩田園都市の住宅街で「自動運転モビリティの実証実験」を実施した。実験コースは横浜市青葉区すすき野付近で、反時計回りに4つの信号機付き交差点を巡って戻る。使用車両は8人乗りの小型バス。この小さな車両が選ばれた理由から、課題が見える。

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実験は自動運転レベル2、地上設備は不要、運転士が必要

 実験で使用する車両は8人乗りのマイクロバスだ。タジマモーターコーポレーションの多目的小型電動モビリティ「TAJIMA-NAO-8J」。国土交通省が提唱する時速20キロメートル未満で走行可能な「電気自動車(EV)」だ。中国製のゴルフカートを改造しているという。時速20キロメートル未満、つまり最高時速19キロメートルの理由は、衝突安全性試験などを免除されているからだ。


試験車両となった、タジマモーターコーポレーションの多目的小型電動モビリティ「TAJIMA-NAO-8J」

 リチウムイオン電池を搭載し、実験車両は1回の充電で約80キロメートルを走行可能。今回の実験では、午前10時から午後4時まで、1時間に1〜2回の走行だ。東急バス虹ヶ丘営業所で夜間滞泊と充電、整備を実施。運用中はすすき野団地折返所のコンセントから「つぎたし充電」を実施した。

 ちなみに、バスの保有者は東急で、バスの運行は東急バスが行っている。東急は不動産事業、交通事業、ホテル・リゾート事業、生活サービス事業を手がける。事業の一部は子会社化しており、東急バス、東急電鉄、東急不動産ホールディングスなどがある。これらを統轄する会社が東急だ。各分野のビジネス企画開発も行う。


運転席は簡素。非常停止ボタンと発車ボタン、レーザーレーダー用モニターなどを設置

 実験車両の定員は8人。運転席と助手席を除くと乗客定員は3列6人。1列の両側に扉があり、片側に扉4枚。明治時代の鉄道の小型客車のようだ。コンパートメント風の座席同士は隔離できるため、ウィズコロナ時代の安全輸送に対応。世田谷区ではこの車両を臨時PCR検査会場に使用している。

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