“技術大国”イスラエルから、日本企業が学べることはたくさんある:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
イノベーション国家・イスラエルの技術力を支えている政府機関「MAFAT」のベンチャーキャピタル責任者に先端技術などについて話を聞いた。同国から日本が学べることとは。
MAFATが開発している興味深い技術
MAFATが最近開発している技術には興味深いものが多い。
例えば「UCIテクノロジーズ」という企業は、GPSを利用できないような場所でも、世界に30億台以上あるといわれる固定式Wi-Fii送信機からの情報を分析することで、正確な位置情報を3Dで把握できる技術を開発している。災害時に被災者を見つけることも可能になるという。
「CU-BX」という企業が開発しているのは、最先端のセンサー技術だ。自動車の車内に設置することで、非接触型でドライバーの生体情報を取得するという。
この技術は「単一光学センサー」と言い、自動車内で人体の振動(ナノバイブレーション)を感知して、ドライバーや乗客の健康状態を常時監視できる。「疲労」「ストレス」「体内アルコール残量」「快適性評価」「車酔い」「重要な健康指標の追跡」を調べることができ、「緊急を要する健康状態(不整脈その他重篤な状態)」も検知できるという。
また、イスラエルの「Foretellix」がMAFATと連携して開発した自動運転システムの安全性などを検証するプラットフォームは、トヨタグループの自動車部品大手のデンソーが投資に乗り出している。
食料などにも開発分野は広がる。「Remilk」という企業は、乳牛から摂取した遺伝子に、同社が発見した微生物を組み込んで牛乳と同じ成分の生乳パウダーを開発。独自の発酵方法を使うことで、従来の乳製品よりも健康的な乳製品を製造している。
さらに、通常の砂糖より最大で約4000倍も甘い新規甘味タンパク質も開発されている。しかもこのタンパク質は、カロリーゼロ。自然界の過酷な環境下で生きるタンパク質を研究し、甘いタンパク質を設計している。開発企業は「Amai Protein」という名で、日本語の「甘い」から社名をつけたという。すでに食品メーカーのダノンなどが投資をしていて、提携を行っている。
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