AI vs 絵師の戦争勃発? たった10円以下で本格イラストをつくれる「NovelAI」は人類の仕事を本当に奪うのか:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/5 ページ)
AIを使ったイラスト生成サービスが話題だ。一部では、絵師たちの仕事を奪うのではないかという危惧も出始めているが、実際のところ、どうなのか。筆者が実際に「Novel AI」を使ってイラストを制作するとともに、絵師とAIの未来を考えてみた。
本家のイラストは 14万人超のフォロワー(10月13日午後4時時点)を擁するAT氏(@haruno_intro)によるものであった。イラストは人気オンラインゲーム「原神」のキャラクター、「雷電将軍」のファンアートであるとみられる。
しかし、「自称イラストレーター」のアカウントがAT氏の作品にそっくりなイラストを添付して、「自分の絵の方が5〜6時間早く投稿されていたので、私の絵を盗用した事になる」という趣旨の主張をイラストレーター本人の投稿にぶら下げる形で投稿していた。
便宜的に、自称イラストレーターのアカウントが制作した画像を“贋作”としよう。やはり“贋作”の方はAIが生成する作品だけあって、雷電将軍のトレードマークである背中の巴紋が入っていなかったり、背中の中央にある割れ目が2本入っていたり、薬指が第一関節から2本に分かれていたり――と人体として不自然な箇所も認められる。“手口”としては、制作途上のライブドローイング画面をスクリーンショットし、AIイラスト生成サービスに読み込ませたとみられている。
近年ではイラストレーター同士の「トレパク」が話題になることもあり、クオリティーに関わらず、単純に投稿が遅い方が「パクり」と認定されてしまうこともある。従って今回も、事情を知らない第三者からすれば、単純に投稿時間が早かった“贋作”の方が「本物」と認識されてしまい、本物の方は逆に「拙いイラストレーターの作品の構図を盗用して自身のものとした」と誤認される危険性もあったのだ。
今回は幸いにも不自然な点が多かったことで簡単に見破られたが、ちまたでは「コンテンツ販売サイトでAIに制作させたイラストを有料で販売する」「フリーランスのマッチングサイトでイラスト制作を請負い、実際の制作はAIに任せる」といった問題も発生しており、現に複数のサービスでそのような疑いのある事例が指摘され始めている。
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