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政府・日銀の為替介入でも止まらぬ円安 そもそも「円安」って悪いことなの?時事ワード解説(2/2 ページ)

政府・日銀が9月に続き、円買いによる為替介入をしたという見方が強まっています。そもそもなぜ、政府・日銀は為替介入を行うのでしょうか。つまり、「円安=悪」ってこと? その疑問にお答えします。

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答えは「円が多い方」が円安

 正解は、「1ドル=200円」です。円安は、円の他通貨(ドル・ユーロなど)に対する相対的価値が少ない状態を指します。例えば、「1ドル=100円」であれば、1万円をドルに換える際、手数料などを考慮しなければ、100ドルになります。一方、「1ドル=200円」では、50ドルにしかなりません。

 このように、ドルとしては同じ金額なのに、必要な円が多いことから「円の価値が低い状態=安い」と捉え、円安というのです。逆に、円の価値が高い状態は「円高」です。

円安=「悪」?

 では、円安は悪いことなのでしょうか。日本は資源に乏しく、原油などの燃料資源や、工業原料、また食材原料を輸入に頼る割合が高いとされます。同じ1ドルのものでも、円安になればなるほど必要な円が増えるため、輸入品の値段が上がり、さまざまなモノ・サービスで値上がりする大きな原因となり得ます。今般の為替介入も、こうしたマイナス面の影響が一因とされます。

 一方で、輸出産業にとって円安は追い風です。例えば、トヨタ自動車では、「1円」円安になることで、対ドルで年間400億円、対ユーロでは60億円も営業利益が増えるとされています。円安は観光産業にも追い風です。外国人観光客にとって、円安になればなるほど、自国の通貨をより多くの円に交換できるからです。

 このように、円安にはいい側面も悪い側面もあるといえます。しかし直近では、身の回りのモノが値上がりを続けることから、「悪いもの」と認識する人も多いはず。輸出産業や、これから回復していくはずの観光産業を中心に、円安によって得た利益を他へ還元していく好循環が求められます。

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