「給料が上がらない国」ニッポンで生き抜くには、「80歳まで転職」が必要なのか?:厳しい“この先数十年”で起こること(2/4 ページ)
物価高の影響もあって、賃金が上がらないことへの関心が高まっています。過去30年間の賃金は、見事に上がっていません。この状態から抜け出すために、ビジネスパーソンと企業は今後、それぞれどう動くのでしょうか。
賃金を上げるために、日本のビジネスパーソンにできる戦略の一つは、職業大学の個人版ともいうべき、リカレント教育を受ける準備をしておくことです。減価償却ではありませんが、収入の一部を、キャリアのどこかで大学院や大学、専門学校などで学び直すために積み立てておきます。
もちろん、そうした学校の入学試験に合格できるだけの学力も用意しておかなければなりません。決して容易なことではありませんが、このくらいの努力をしなければ、低賃金産業から高賃金産業への移動は困難です。
米国に学ぶ、絶えざる転職活動
自分の賃金を上げるうえでもう一つ参考になるのが、米国の労働者の生き方です。日本では今なお、「転職は今の職場に不満を持っている人がするもの」というイメージが一部にあるようですが、米国では、転職はより良い労働条件を求めてするものと考えられています。労働者は今の職場に特に不満がなくても、日常的に転職サイトをチェックしたり、転職仲介業者と交流したりして、より良い条件の仕事を常に探していると言われます。副業も日本より普及しています。
日本人も米国人の生き方から学ぶべきところがあります。今の職場に不満が生じてからでは遅すぎます。そんなときには判断力が鈍って、エンプロイヤビリティ―(雇われる力)も低下しています。満足して元気なうちに転職仲介業者などとネットワークを築いておくのが、少なくとも「勝ち組」を目指す人にとっては必須の条件でしょう。
一方で企業は、賃金を上げるためにこれからどう動くのでしょうか。
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