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「給料が上がらない国」ニッポンで生き抜くには、「80歳まで転職」が必要なのか?:厳しい“この先数十年”で起こること(3/4 ページ)
物価高の影響もあって、賃金が上がらないことへの関心が高まっています。過去30年間の賃金は、見事に上がっていません。この状態から抜け出すために、ビジネスパーソンと企業は今後、それぞれどう動くのでしょうか。
賃金は組織型からマーケット型に
一つ予想されるのが「マーケット型」の賃金決定です。これは、「競合他社ではこの仕事にどのくらいの賃金を払っているか」ということを基準に賃金を決めることです。「マーケティング課長」「人事課長」「財務課長」などの職種ごとに、各種の賃金調査を参考に賃金を決めます。相場の変動によって、自社の賃金が競合より低くなったようなときには、機動的に賃金を引き上げます。日本以外の先進国では一般的に行われている賃金決定様式です。
これが日本ならば、「同じ課長なのに部門によって賃金が違うのはおかしい」ということになるでしょう。このように、部門にかかわらず職位で賃金を決め、競合他社がいくら払っているかはあまり気にせず、自社の財政状況と個人の評価を重視して賃金を決めることを「組織型」の賃金決定といいます。
マーケット型の賃金では、勤続年数が短いことによる不利益を受けないので、転職が盛んになります。他社より低い賃金しか払っていない企業は、人手不足により市場から退出を迫られます。日本以外の国々では、このため賃金が上がっています。
日本では、特に中小企業では、経営者も人事部長も、同業他社がどれくらいの賃金を払っているのかについてほとんど無関心です。今後は賃金に関する情報収集力が、企業にとって重要な成功要因になると考えられます。
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