わずか1年で時価総額76兆円が消失のメタ 「脱・Facebook」の大きすぎた代償:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/3 ページ)
メタバースへの投資などを理由に、Facebookから社名を変更したメタ社が、大きな苦境に立っている。株価は社名変更後のわずか1年で7割も暴落するなど、脱Facebookの代償はあまりにも大きかったようだ。
日本で米国株投資がブームになって久しい。米国の大手テック企業の永劫の繁栄を期待する投資家は、ナスダック指数に連動するレバレッジ投資信託を購入する動きも見られたし、そうでない人でもS&P500指数に連動する投資信託を積み立てるなど、日本において米国株投資は“市民権”を得ている。
しかし、過去のすう勢をたどれば、1つの国の銘柄が全世界の時価総額ランキングを長らく席巻することは珍しいことだ。例えば、1989年の世界における時価総額ランキングでは、NTTや日本興業銀行(現・みずほ銀行)といった日本株が総なめしていた時代もあるし、さらにさかのぼれば英国が株式の覇権を握っていた時代がある。今は売り込まれている中国株も、少し前は世界で見てもトップのリターンを生み出していた投資対象だったこともある。
現在、米国テック企業でCEOの多くがインド系となっていることは周知されているだろう。さらに、英国では初めてインド系のスナク氏が首相の座に就くなど、世界経済や政治に占める”インド系パワー”は強まりを見せている。
そのすう勢は、インド版のS&P500指数というべき「SENSEX30指数」に現れている。過去5年の指数の値上がり率は81.21%と、S&P500指数を大きく上回っているのだ。
どんな環境でも、マーケットでは「世界のどこかに強気相場がある」という経験則がある。仮に米国株の指数に投資することで分散投資しているように見えても、米国自体の景気が減速した場合には事業を成長させたり、資産を守りきったりはできない。
逆説的かもしれないが、米国に注目が向いている今だからこそ、米国以外にも世界に目を向けることも重要だ。今後は、バランスの良い戦略の構築が個人投資家にとっても、企業にとっても、将来の安定性を高めていくことになるだろう。
筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCFO
1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CFOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら
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