「住みたい街」5年連続トップの横浜 住民だけでなく企業からも人気を博し続ける納得の理由(2/4 ページ)
横浜といえば、「住みたい街」ランキングで5年連続トップとなるなど、人気の街だ。一方で、企業とのコラボや撮影依頼も多く、企業からも人気を博している。いったいなぜ、これほどまでに横浜は人気なのだろうか。市の歴史や取り組みとともに解説する。
基本戦略の一つは、65年に示された港北ニュータウン、地下鉄、高速道路やベイブリッジなどの「6大事業」である。
一方、街は公共のプロジェクトだけで作られるものではなく、民間の開発も数多く存在する。そこで、土地利用を適切にコントロールすることが2つ目の戦略として模索された。そして3つ目の戦略が、「都市デザイン手法の導入」である。この都市デザインによって、横浜らしい風景が作られてきた。
筆者が特筆すべきだと思うのは、ミニ東京になろうとするのではなく、横浜らしさにこだわって風景を作ってきたという点だ。60年代以降、多くの街ではユニバーサルな技術、経済合理性最優先がよしとされ、地方はどんどん均質化してきた。国が景観法を公布したのが2004年であり、一方、横浜市に都市デザイン担当セクションが誕生したのが71年と聞けば、意識の違いが理解できよう。
横浜市の桂有生氏(都市整備局企画部都市デザイン室)は、「横浜は開港の歴史と、その成果である新しいものを受け入れることをよしとしてきた街」と話す。
「古さ(伝統)では京都や高山に勝てない。新しいものだけでも東京に勝てない。海だけなら湘南に負ける。新しいものと古いもの、港を組み合わせることで横浜らしい風景をこの50年磨いてきました。当初から掲げていた、『個性と魅力のある人間中心の街』を作るという、当時からしたら異端のようにも聞こえた言葉が、50年たってようやく普遍的になってきたともいえます」(桂氏)
都市デザイン室には、最近まで、部署創設以来40年間にわたり都市デザイン行政に関わって来た国吉直行氏がおり、ノウハウを蓄積してきたことも大きいという。長期的な視野で、他にはない横浜らしい風景を作り上げてきた。
統一感のある景観をデザイン
桂氏がいくつか挙げた例のうち、分かりやすいものをお見せしよう。一つは、関内の中心にあるシンボルロード、日本大通り。1866年に起きた大火の後に作られた日本最初の西洋式街路で、延焼を防止するため、幅員は36メートルもある。だが、04年のみなとみらい線整備時に再整備されるまでは単に広いだけの道路だった。
再整備に合わせ、歩道を広げて自然石舗装を施し、歩道と車道の間の段差を極力減らして安全に、かつイベント開催時には一体的に使えるようにした。車止め、照明灯などには重厚感のある鋳鉄を使って色味をダークグレーに統一。周辺の歴史的建造物と調和したデザインになっている。道路のアスファルトにも黄、赤、灰色の骨材を混ぜて周囲の建物などと調和するよう色彩を調整してあるという。
関連記事
- 7割が「不満」 冬ボーナスの支給金額 3位「5万〜10万円」、2位「30万〜50万円」、1位は?
ヒューネルがボーナスに関する調査結果を発表した。最も多くの人が回答した金額帯はいくらだったのか? - 日本企業の課長職、貯蓄平均は「1550万円」 年収の平均は? 業務内容で大きな差 毎月のお小遣い額も明らかに
ビジネスコーチが「日本の課長」に関する調査を実施。年収や毎月のお小遣い、理想の上司/部下などを課長1000人に調査した結果が明らかになった。 - 温泉宿のクチコミランキング 3位「伊香保温泉 ホテル木暮」、2位「効能溢れる癒しの湯治宿 玉川温泉」 1位は?
楽天トラベルが「お風呂のクチコミ評価が高い温泉宿ランキング」を発表した。クチコミを基に、1〜10位までをランク付けしている。その結果、3位には伊香保温泉、2位は玉川温泉の宿がランクイン。果たして1位はどこだったのか? - 都道府県別、人気の移住先ランキング 北海道、兵庫県を抑えた1位は?
移住・関係人口促進サービス「SMOUT」を運営するカヤックが、約4万人のユーザー動向から調査した人気の移住先ランキングを発表した。市区町村と都道府県別にランク付けしている。 - 初デートで「なし」なメニュー 3位「ギョーザ」、2位「ジビエ」、1位は? ファミレス容認派の割合も明らかに
ホットペッパーグルメ外食総研が初デートでの「あり」「なし」ランキングを発表した。SNSで話題になることも多い「ファミレス初デート」容認派の割合や、「あり」「なし」な店・メニューが明らかになった。 - 4000人に聞いた「好きなお菓子」、1位は? 今夏売れたアイスも明らかに
プラネットが、おやつ・お菓子に関する調査結果を発表した。4000人規模の調査から、好きなお菓子や今夏売れたアイスが明らかに。 - ドミノ・ピザ、値下げキャンペーンの一方で“6%値上げ”していた 告知不十分で不満の声も
ドミノ・ピザが10月3日から、デリバリー・持ち帰りを問わず全注文に対してサービス料を徴収し始めた。現状、告知は公式Webサイトやメールマガジンのみで、告知の不十分感が否めない。なぜ、今なのか。そして、いくらかかるのか。広報担当者を取材した。 - 儲けを取るか、顧客を取るか 苦境続く新電力 石川電力の自己破産は氷山の一角?
10月4日に自然電力がサービス終了を発表し、10月6日には石川電力の自己破産が報じられるなど、苦境が続く新電力。最近では収益性向上のために「市場連動型」の料金プランを導入する企業も出始めているが、茨の道といえそうだ。 - 「ジーユー以上、ユニクロ以下」の価格帯で勝負 FOREVER21、日本市場で“三度目の正直”となるためのカギは?
2023年、日本市場への再チャレンジを発表したFOREVER21。過去に二度の撤退を経験しながら、今回を“三度目の正直”とできるか。勝負する価格帯は、「ジーユー以上、ユニクロ以下」となり、激しい価格競争も想定される中、成功のカギはどこにあるのか。専門家が分析する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.