ライブドアショック、再び? 暗号資産大手FTX破綻騒動に共通する「引き金」とは:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)
暗号資産交換業者・FTXの経営破綻が大きな波紋を広げている。振り返れば、2006年に起きたライブドアショックも、似たような経緯だった。今回の事件と16年前の事件、共通する「引き金」とは?
世界有数のシェアを持つ大手暗号資産(仮想通貨)交換業者のFTXが経営破綻に追いやられた。その経緯を見ると、今から約16年前に発生した“ライブドアショック”をほうふつさせるものがある。まずはライブドアショックの事例を確認しながら、今回の“FTXショック”との共通点をピックアップしたい。
16年前の「ライブドアショック」を振り返る
ライブドアショックとは、その名の通りライブドアを巡って巻き起こった騒動だ。同社は当時、ホリエモンこと堀江貴文氏が率いていた東証マザーズ(現・東証グロース)上場企業だった。フジテレビの大株主であるニッポン放送に株式公開買い付けを仕掛けたり、近鉄球団を買収しようとしたりといった姿勢がワイドショーなどを通じて盛んに取り沙汰されていた。当時のライブドア人気は相当なもので、小学生も同社株を保有していることがマスコミを通じて報じられるほどだった。
そんなライブドアは、2006年1月16日、ライブドア本社や堀江貴文氏宅への家宅捜索が開始されたことで急転直下の事態に陥る。堀江氏にかけられた容疑は、証券取引法(現・金融商品取引法)違反であった。捜索当日の朝はライブドア株にそれほど大きな値動きはなかったが、午後になると売りが目立つようになってきた。ただし、この時点ではライブドア固有の事案と市場は認識していたため、他市場や指数に対する影響はほとんどなかった。
では、なぜ影響が広がっていったのか。実際に市場の大暴落を招いたのは、翌17日にマネックス証券によって行われたライブドア株の「代用掛目ゼロ評価」によるものだったという見方がある。
「代用掛目」とは、信用取引において現金ではなく、株式を保証金の代わりにして建玉を保有するために用いられるパラメーターのことだ。一般に、株式は現金と比較して価格変動リスクや流動性が大きい資産とされる。そのため、株式を担保に信用取引の資金を投資家に貸す際には、精算時に損失が広がりすぎないよう、時価評価額の80%程度で割引評価される。
当時の市場では、多くの投資家がライブドア株を「代用有価証券」として信用取引における差入保証金の代わりとしていた。そのような状況下で突如ライブドア株式の代用掛目が0%になるということは、事実上「ライブドア株を代用有価証券として認めない」ということになる。通常、差入保証金は30%ほどに設定されていることが多い。例えば、ライブドア株を担保に1000万円分の信用取引を行っていた投資家であれば、突如約330万円の追加保証金の差入れを請求されることとなる。投資家はその金額をどこからか調達して今の建玉を維持するか、ポシジョンを精算するかの選択を余儀なくされたのだ。
関連記事
- 7割が「不満」 冬ボーナスの支給金額 3位「5万〜10万円」、2位「30万〜50万円」、1位は?
ヒューネルがボーナスに関する調査結果を発表した。最も多くの人が回答した金額帯はいくらだったのか? - なぜ? 任天堂に日本郵船――投資の神様・バフェットが否定的な「株式分割」に大企業が乗り出す理由
任天堂や日本郵船など、大企業で相次ぐ「株式分割」。投資家視点では、これまで手が出せなかった株がお手頃価格になる一方、企業にとってデメリットはないのか。そもそも、投資の神様・バフェットは株式分割に否定的とされるが…… - わずか1年で時価総額76兆円が消失のメタ 「脱・Facebook」の大きすぎた代償
メタバースへの投資などを理由に、Facebookから社名を変更したメタ社が、大きな苦境に立っている。株価は社名変更後のわずか1年で7割も暴落するなど、脱Facebookの代償はあまりにも大きかったようだ。 - 日本企業の課長職、貯蓄平均は「1550万円」 年収の平均は? 業務内容で大きな差 毎月のお小遣い額も明らかに
ビジネスコーチが「日本の課長」に関する調査を実施。年収や毎月のお小遣い、理想の上司/部下などを課長1000人に調査した結果が明らかになった。 - お金が見る見る溶けていく――投資初心者がハマる「レバレッジ投信」、2022年は最悪のリターンに?
「少ない資金で大きなリターンが得られる」――そうした触れ込みを基に、投資初心者を中心に人気を博していたレバレッジ投信だが、2022年に入って大きな逆風が吹いている。海外では業者への規制が進むが、日本ではまだ手ぬるいようで…… - 「住みたい街」5年連続トップの横浜 住民だけでなく企業からも人気を博し続ける納得の理由
横浜といえば、「住みたい街」ランキングで5年連続トップとなるなど、人気の街だ。一方で、企業とのコラボや撮影依頼も多く、企業からも人気を博している。いったいなぜ、これほどまでに横浜は人気なのだろうか。市の歴史や取り組みとともに解説する。 - 温泉宿のクチコミランキング 3位「伊香保温泉 ホテル木暮」、2位「効能溢れる癒しの湯治宿 玉川温泉」 1位は?
楽天トラベルが「お風呂のクチコミ評価が高い温泉宿ランキング」を発表した。クチコミを基に、1〜10位までをランク付けしている。その結果、3位には伊香保温泉、2位は玉川温泉の宿がランクイン。果たして1位はどこだったのか? - 「ジーユー以上、ユニクロ以下」の価格帯で勝負 FOREVER21、日本市場で“三度目の正直”となるためのカギは?
2023年、日本市場への再チャレンジを発表したFOREVER21。過去に二度の撤退を経験しながら、今回を“三度目の正直”とできるか。勝負する価格帯は、「ジーユー以上、ユニクロ以下」となり、激しい価格競争も想定される中、成功のカギはどこにあるのか。専門家が分析する。 - 都道府県別、人気の移住先ランキング 北海道、兵庫県を抑えた1位は?
移住・関係人口促進サービス「SMOUT」を運営するカヤックが、約4万人のユーザー動向から調査した人気の移住先ランキングを発表した。市区町村と都道府県別にランク付けしている。 - 初デートで「なし」なメニュー 3位「ギョーザ」、2位「ジビエ」、1位は? ファミレス容認派の割合も明らかに
ホットペッパーグルメ外食総研が初デートでの「あり」「なし」ランキングを発表した。SNSで話題になることも多い「ファミレス初デート」容認派の割合や、「あり」「なし」な店・メニューが明らかになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.