お金が見る見る溶けていく――投資初心者がハマる「レバレッジ投信」、2022年は最悪のリターンに?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/4 ページ)
「少ない資金で大きなリターンが得られる」――そうした触れ込みを基に、投資初心者を中心に人気を博していたレバレッジ投信だが、2022年に入って大きな逆風が吹いている。海外では業者への規制が進むが、日本ではまだ手ぬるいようで……
「資金がなくても圧倒的なスピードで資産が増える」――。
そんな触れ込みで2021年に投資初心者の間でブームとなった、米国株のレバレッジ型投資信託が佳境に立たされている。株価の急変動が起こるとたびたびトレンド入りするのが、「レバナス」や「SOXL」といったキーワード。これらは、いずれも米国株式の指数を対象としたレバレッジ型投資信託やETF(上場投資信託)の名称なのだ。
「レバナス」は、大和アセットマネジメントの「iFreeレバレッジ NASDAQ100」、楽天証券が21年にリリースした「楽天レバレッジNASDAQ-100」などの投資信託を指す。筆者の連載でも21年末にピックアップしたハイリスクな投資信託である(参考:『4000万円が92万円まで減少も? 急増する“レバナス信仰”の裏に隠れた投資信託「負の側面」』)。これは、米国における代表的なグロース株100銘柄の指数である「NASDAQ-100指数」の日次変動率に対して2倍の値動きを示す投資信託だ。
信用取引やFX(外国為替証拠金取引)に代表される「レバレッジ」といえば、相場の急変動で投資元本以上の損失が発生し、判断ミスによって借金まみれになってしまうといったイメージが強いだろう。しかし、レバレッジ型の投資信託は、最悪のパターンでも投資元本がなくなるだけで済む。
そのため、レバレッジ型投資信託は、少ない資金で大きなリターンを期待できる「テコの原理」はそのままに、リスクは限定的であるとして人気を博していたとみられる。しかし、22年の相場環境はグロース株の天敵である利上げ相場となっている。
楽天証券が提供するレバナスのリターンはそんなテコの原理が逆効果となり、設定来の損失が大きく拡大。わずか1年足らずで、基準価額は当初の1万円から4139円と60%近くも減少した。基準価額を上回ったのは設定来たったの10営業日だけで、1万227円の最高値を21年末につけてから一貫して下落基調となっている。
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