実は「横領・不正」に手を染めやすい部署 経理部とどこ?:ノルマへのプレッシャー(3/4 ページ)
「社内不正」と聞くと、「うちの会社ではそんな大それたことは起こるわけがない」と思いがちです。しかし実際には、社内不正の手口は多岐にわたり、小さな不正はどこの会社でも毎日のように起こっていると言っても過言ではありません。
社内不正を未然に防ぐため講じるべき対策
どの会社においても、社内不正を100%未然に防ぐことはかなり難しいことです。しかし、できる限り不正を防止するための手段を講じるべきでしょう。
具体的に挙げると、
- 内部統制を見直し、社内不正に関する規定を整備、社員に周知する
- 1人の社員に業務・権限が集中しないようにする
- ソフトなどを利用してセキュリティ対策を強化する
- 定期的に第三者機関に調査を依頼する
- 不正を通告・通報できる窓口を設置する
- 社員たちの不満を日頃から解消するよう努める
などが効果的と考えられます。
社内不正を未然に防ぐことができる社内体制は、一朝一夕では完成しません。不正をしにくい社内環境や制度を地道につくり上げていくしかないのです。そのためには、不正が発生したときに有効な再発防止策を講じることが欠かせません(図表2)。
社内不正が発覚した場合の対処法
社内不正はどこの会社でも起こり得る事態です。大切なのは、発覚した際に正しく対処できるかどうかです。被害をそれ以上大きくしないために、そして再発防止のために、どのように対処していけばよいのでしょうか。
【1】事実確認の調査
社内不正が発覚するのは、経営者や管理者が異変に気付く場合と、内部の社員から告発を受ける場合がほとんどです。
いずれの場合も、社内不正の疑いが浮上したらすぐに事実確認の調査を実施します。
その際、いきなり疑惑を持たれている社員を問いただすのではなく、不正がなされているのが本当なのか、証拠はあるのかを調べましょう。内部告発の場合は、告発した社員への聞き取り調査を丁寧に実施するようにしてください。
事実確認の調査は、社内の人間だけでしてしまうと、疑惑を持たれた社員に調査していることを気付かれてしまい、証拠隠滅を図られる危険性が少なくありません。企業内調査を専門とする調査会社などに依頼することも考えておきましょう。
【2】証拠保全
不正行為の事実の確認調査を実施する際には、証拠保全も欠かせません。
伝票や領収書、本人が作成した書類などは証拠となり得ますので、早急に入手して適切に保全してください。証拠保全の対応が遅れてしまうと、社内不正をした社員によって改ざんや破棄されてしまう可能性があることを念頭に置いて、慎重かつ迅速に実施することが重要です。
また、証拠となり得るメールや、SNSでの書き込み、インターネットや社内データへのアクセスログなども、早期に保全しておくようにしましょう。
本人が業務用に使っているPCにも、多くの証拠が隠されている可能性があります。ある程度の証拠がそろい、社内不正をしたことがほぼ確実であると確信できたタイミングで、業務用のPCも回収し、証拠として保全しておきましょう。
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