天気に合わせた販促を強化するコカ・コーラが、「雨の日割り引き」をしない理由:“ウザイ広告”ではなく気の利いたサービス(1/3 ページ)
コカ・コーラは、天気による感情・行動の変化を活用した販促活動を強化している。しかし、雨の日に合わせた施策を実施していないという。なぜなのか。
「暑い日は喉が渇く」「寒い日にはホットが飲みたくなる」――日本コカ・コーラは、そんな天気による感情・行動の変化を活用した販促活動を強化している。ウェザーニューズの天気連動サービス「ウェザーテック」と連携し、公式スマートフォンアプリ「Coke ON(コークオン)」で天気情報を飲料の販促に生かす。
天気と連動した販促施策といえば、「雨の日割」などの雨天時の割り引きサービスが思い浮かぶ。しかし、コカ・コーラでは雨の日に合わせた施策を実施していない。マーケティング本部IMX事業本部デジタルプラットフォーム部の宇川有人シニアマネジャーは「雨の日割り引きは自然じゃないですよね。お客さまが自然だと思える行動を促すように心掛けています」と話す。“自然じゃない”とは、一体どういうことだろう。
飲料の販促は天気の影響を大きく受ける
Coke ONは、スタンプをためると無料ドリンクチケットが獲得できるコカ・コーラの公式スマホアプリだ。Coke ON対応自販機をBluetoothでスマホと接続すると飲料が購入でき、スタンプがたまる。自販機のオペレーションは販売会社が行っており、商品ごとの値引きは難しい。Coke ONではスタンプを15個ためると同社の製品と交換できるドリンクチケットを配布することで、お得な体験を提供する。アプリでは新商品やキャンペーンに関する情報発信も行っている。
Coke ONはウェザーニュースと連携し、1キロごとの気象情報を1時間単位で取得。できるだけリアルタイムで正確な天気情報を取得することで利便性を高め、利用者の満足度向上を目指している。取得した気象情報を使用し、夏の暑い時期には熱中症の注意喚起として飲料の購入を促し、冬の寒い時期にはホットドリンクのお得なキャンペーンを実施している。
人間は天気が良いと喉が渇く。また、雨が降ると、普段は自転車なのに電車に乗るなど行動が変化する。宇川さんは、こういった行動の変化が飲料の購買にも大きく影響すると話す。
関連記事
- 「50代だから緑茶を飲むわけではない」 コカ・コーラの自販機をネットにつないで分かった購買行動
コカ・コーラの公式スマートフォンアプリ「Coke ON」は、4200万ダウンロードを記録した。自販機DXを加速し、「飲み物を売るただの箱」から接客を伴う小売店に変化しているというが、どういうことなのだろう。 - 全国にたった“17人” スタバ黒板アート職人「GAHAKU」は何者なの?
日本のスタバには、「GAHAKU」と呼ばれる黒板アートの達人が存在する。GAHAKUは全国にたった17人。倍率12倍以上の選考を勝ち抜き、従業員の“お手本”となる黒板アートを制作している。 - キャンセル待ちが約8000人! レンジで「チン!するレストラン」がここまで話題を集めたワケ
冷凍食品とアイスクリームが食べ放題の「チン!するレストラン」が話題を集めた。2日目にはチケット完売、キャンセル待ちは7000〜8000人を記録。好評の要因を聞いた。 - 無印店舗ではあまり目立たなかった「泡立てネット」 なぜローソン店舗では売れたのか
ローソンは5月から、ローソン店舗での無印の販売を順次開始している。無印店舗ではあまり目立たなかった“意外な”商品の販売も好調だったという。無印を販売する狙いや売れ行きを聞いた。 - 「品質がよくない」「普段の1.5倍の値段です」 顧客満足度No.1のスーパーで見つけた“正直すぎる”ポップの真意
「普段の1.5倍の値段です」「品質がよくない」――オーケーで見つけた正直すぎる掲示。「オネスト(正直)カード」と呼ばれているらしい。こんなに正直に商品のマイナス面を伝えて大丈夫なのだろうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.