ローソンストア100、今年が「最後の100円おせち」か!? 100円を維持できた物流改革とは:高級路線からシフト(3/5 ページ)
もしかすると今年で「100円おせち」が消えるかもしれない。今年もローソンストア100は、毎年恒例の「100円おせち」を発売する。各社が値上げを続ける中、同社はいかにして価格を維持できたのか。その答えは物流にあった。
原材料と資材を早期確保
空になったトラックを活用するという発想の転換によってコスト削減を実現したのだ。「1品当たりの単価を下げるのは大変なのですが、物流費は削減した分だけ浮くので一番コスト削減に貢献しやすいのです」。
包材もかなり値上がりしている。
「今は値上がり前より20%ほど価格が上昇しています。当社は計画発注なので、早い段階で『300万個を販売します』と、包材の製造工場に発注をかけたことによってラインを確保できました。それで昨年と同じ価格で済みました」
海外からの輸送では、国内の物流と似たような形で、これまでは海外メーカーがそれぞれのコンテナに積み込み、それを船で運んでいた。今年はローソンストア100側がレンタルしたコンテナに全てを集め、それを船で運ぶことによって輸送費のコストを抑えたという。
円安は海外からの調達においてマイナスだ。だが近藤副本部長は「円安になる前に、原材料を確保することができました」と胸を張る。近藤副本部長がいる商品本部は、原材料の調達も扱う部署でもあり、常に相場をチェックしているという。今回は読みが当たった形だ。
このように話を聞くと、3番目の「早期の数量確約」が価格維持に大きな影響を与えたように思われる。これは「ローソンストア100の『100円おせち』 高級食材『味付けあわび』も100円に抑えられる驚愕の理由」に書いたように、今回の場合は21年秋に準備をし、22年に販売計画を確定させ、23年に売るという計画が功を奏した形なのだろう。
1商品あたりのマージン(利益率)は、コスト削減効果と、45種類のうち10品ほど容量も少し減らした結果、前年とほぼ同じだと話す。
すっかり定着したのがECでの販売だ。昨年は、用意した120セットが発売後わずか5分で完売したため、今年はアプリ予約とEC販売合わせて8000セットと大幅に量を増やした。前年に使っていたUber Eatsはユーザーとの親和性があまりなかったことから今年は採用していないという。
その代わりに、ローソンアプリを活用する。予約をすれば近くのローソンストア100の店頭で受け取れるようにした。また、ローソンストア100は、関東、近畿、中部でしか展開していないため、それ以外の地区に住む人は購入できなかった。そこでネットショップのSTORESを利用すると自宅に配送できるようにした。
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