東京モーターショーはどうあるべきか トヨタ社長が憂う日本の未来:高根英幸 「クルマのミライ」(3/6 ページ)
2023年の秋、4年ぶりに東京モーターショーが開催される。リーマンショックをきっかけにモーターショーの活気が失われつつあるが、どうすれば“復活”するだろうか。
ドメスティックなイベントに陥らないためにはどうするか
技術やデザインで未来を感じさせるモーターショーから、展示即売会へと姿を変えつつある。上海や北京で開催されるモーターショーは、クルマ購入の商談の場でもあり、購入してその場から乗って帰る人も少なくない。
これは日本ではディーラーがホテルなどで行うフェアに近いもので、それがさまざまなメーカーを一気に集めたものと、従来のモーターショーである見本市の要素が融合している。
日本の場合は登録しなければ公道を走行できない(ディーラーが確保している仮ナンバーを使えば移動はできるが、管理が厳格なので顧客に貸し出すのは難しい)ので、展示即売会の形式でもその場でできるのは契約までだ。TMSでも上客と商談をすることは珍しくないが、あくまで観客にクルマの魅力を訴えたり、自動車産業関係者が情報収集をしたり、これがTMSのスタイルだった。
先ごろ、米国ラスベガスで開催されたCES(コンシューマーエレクトロニックショー)も、当初はその名の通り、家電の見本市だったものが規模を拡大し、電子部品を用いた産業すべてを巻き込んでの一大イベントとなった。件の「JAPAN オールインダストリーショー」の名称案も、CESの例もありクルマ側からの対象拡大を狙ったものなのだろう。
クルマには工業技術のほぼ全てが集約されているとはいえ、クルマに関係ない業界の参加を集めて規模を拡大しても、モーターショーのイメージがボケるだけで魅力向上にはつながらない。やはりモビリティの魅力をさまざまなカタチで伝えるコンテンツを充実させること、それが日本ならではのモーターショーの魅力を高めていくことにつながるはずだ。
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