「バス共同経営」の熊本県でMaaSアプリサービス開始 まるで公共交通問題のデパートだ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)
前回、ドイツ発祥の公共交通施策「運輸連合」と熊本県における路線バス「共同経営推進室」を紹介した。その後、熊本県はMaaSアプリ「my route」のサービスを開始すると発表。熊本市が先行したけれども、時を置かず他の都市でも同様の計画が立ち上がっていた。
- 徳島県南部における共同経営計画(認可日:22年(令和4年)3月18日)
事業者は徳島バスとJR四国。JR牟岐線の阿南駅〜浅川駅間について、JR四国の乗車券(定期券、回数券、フリーきっぷなどを含む)で徳島バスを利用可能とする。なお、阿南駅〜浅川駅間内のみを利用するJR乗車券は徳島バス運賃となる。
- 長崎市域乗合バス事業共同経営計画(認可日:22年(令和4年)3月18日)
事業者は長崎自動車と長崎県交通局。長崎市内で両社局が重複運行する3地域でバスの運行を最適化し、余剰が発生したバスで運行を維持する路線も共同運営とする。通勤需要の多い時間帯に快速系統のバスを新設して利用者分散と速達性の向上を図る。
- 広島市中心部における均一運賃の設定に係る共同経営計画(認可日:22年(令和4年)3月18日)
事業者は広島電鉄、広島バス、広島交通、中国ジェイアールバス、芸陽バス、備北交通、エイチ・ディー西広島。対象地域は広島市中区のJR山陽線南側と、広島市南区の猿猴(えんこう)川右岸地域。路線バス63路線と路面電車7路線。対象地域の路線バスは距離によって190〜270円だった。同じく対象地域の路面電車は190〜200円だった。
これらの運賃を220円に統一する。ただし路面電車の白島線(八丁堀〜白島)は130円を160円とする。路面電車とバスの競争関係を改め、路線バスと電車を一体的に考えた路線網や運賃、サービスを実現し、利用者目線で分かりやすく使いやすい公共交通体系をつくる。220円均一エリアで路線バスと電車の相互利用可能なデジタルフリー乗車券を新設する。
熊本市が先行したけれども、時を置かず他の都市でも同様の計画が立ち上がっていた。この動きは他の都市にも広がる可能性がある。私の個人的な期待として、伊豆箱根バス、箱根登山バスとその周辺の交通機関で同様の取り組みが実施されることを期待したい。
西武グループと小田急・東急グループが覇権を争った箱根山戦争終結から54年が経過した。協調関係は進んでいるけれども、バスなどのフリーパスが統合されていない。利用者の目線で分かりにくい。国際的観光地としてこれではどうかと思う。バスが使いづらいとマイカー利用が増え、交通渋滞が解消しない。
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