ファストリ、「減益なのに賃上げ」の謎 中国・国内でも苦戦しているのになぜ?:妄想する決算「決算書でわかる日本経済」(1/5 ページ)
決算書から日本経済を読み解く本連載。今回取り上げるのはファーストリテイリングです。初任給を30万円に設定したり、給与を最大40%アップする大きな賃上げを実施したりしたことで話題となったユニクロや、GUを運営するアパレル企業です。
決算書から日本経済を読み解く本連載。今回取り上げるのはファーストリテイリングです。
初任給を30万円に設定したり、給与を最大40%アップする大きな賃上げを実施したりしたことで話題となったユニクロや、GUを運営するアパレル企業です。そんなファーストリテイリングの現状についてみていきましょう。
まずはここ数年の業績の推移を見ていきます。売上高は、コロナ禍の影響を受けつつも2022年8月期にはコロナ禍前の業績を上回る水準となっています。
純利益に関しては、21年8月期の段階ですでにコロナ以前を上回り、22年8月期には過去最高益を大幅に更新するなど非常に好調です。リアル店舗の多いアパレルのためコロナの悪影響は避けられませんでしたが、それを盛り返すような成長が続いていることが分かります。
それでは直近の23年8月期第1四半期の業績を、前年同期と比べながら見ていきましょう。
売上高は14.2%増の7164億円、営業利益は2%減の1170億円、純利益は8%減の898億円と増収ながらも減益となっています。
第1四半期(2022年9〜11月)では円安が進んだことで売り上げにも影響があり、各市場平均で8.5%のプラスの影響がありました。
このため為替の後押しはありましたが、その影響がなくとも売り上げ面では増収だったと考えられます。売上面は堅調だったということですね。
それではなぜ、増収ながらも減益だったのかもう少し事業内容を詳しく見ていきましょう。
関連記事
- スシロー、おとり広告で「信用失墜」し客離れ──それだけではない業績悪化のワケ
最近のスシローといえば、おとり広告の問題で景品表示法に係る措置命令を受けてしまった件は記憶に新しいことでしょう。こういった問題が起きるとどのような影響があるのかを「減損損失」という視点から見ていきます。 - 社長は「トヨダ」氏なのに、社名はなぜ「トヨタ」? “TOYODA”エンブレムが幻になった3つの理由
日本の自動車産業をけん引するトヨタ自動車。しかし、同社の豊田社長の名字の読み方は「トヨダ」と濁点が付く。なぜ、創業家の名字と社名が異なるのか? 経緯を調べると、そこには3つの理由があった。 - 「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。 - ファミマに吸収合併されたコンビニはどれ? 「ポプラ」「スリーエフ」「am/pm」
ファミリーマートの店舗を目にしたとき、「そういえば、ここは数年前まで別のコンビニじゃなかったっけ?」と記憶をたどったことはないだろうか。同社はこれまで、複数の企業を吸収合併してきた歴史を持つ。 - 「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
多様性を重視するアマゾン・ジャパンの面接に「極めてだが優秀だが、差別的な人」が来た場合、どのような対応を取るのか。人事部の責任者である上田セシリアさんに聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.