ファストリ、「減益なのに賃上げ」の謎 中国・国内でも苦戦しているのになぜ?:妄想する決算「決算書でわかる日本経済」(4/5 ページ)
決算書から日本経済を読み解く本連載。今回取り上げるのはファーストリテイリングです。初任給を30万円に設定したり、給与を最大40%アップする大きな賃上げを実施したりしたことで話題となったユニクロや、GUを運営するアパレル企業です。
国内でも賃上げをした理由
国内と中国大陸の市場では不調だったものの、それ以外の地域ではおおむね好調である上、国内では12月は気温低下により好調、中国大陸でも1月は行動制限が明けたことによる復調がありました。市場全体として好調が期待できる状況です。海外では特に社会的なインフレと賃上げが進行しており、すでに給与水準の増加が進んでいたということですね。
こうした要因もあり、人件費に関しては前年同期の738億円→910億円に23.2%増加し、大きく増加傾向となっています。
国内ユニクロの給与水準の引き上げは、海外の給与水準を引き上げる中で追随して実施したことが分かります。
グローバル企業にとって、海外市場における給与水準増加は国内でも無視できない事案です。国内のグローバル企業でも、海外での賃上げに追随する形での給与水準の改善は増えてくるかもしれません。
報酬改定の影響として、ファーストリテイリングは人件費総額の15%ほどの増加を見込んでいます。今期も人件費は大きく増加していましたが、さらに増加傾向が続いていきそうです。
しかし、これまで各市場で見てきたように、店舗オペレーション改善のための投資を進めていました。コスト面に関しては一時的に増加するものの、経営効率化を進めることで改善が進むと考えているようです。
ユニクロに限らず、給与水準の引き上げと、テクノロジー導入によるコスト改善は多くのアパレル企業で同時に進んでいくことになるでしょう。
また、人件費は増加するものの、通期計画では業績は伸び、営業利益ベースでは増収増益となる見通しを立てています。
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