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旭化成「過去最大1050億円赤字」 売上は絶好調なのに、なぜ?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/4 ページ)
「1050億円赤字」を記録した旭化成。売り上げは絶好調なのに、なぜ過去最大の赤字をたたき出してしまったのか?
投資の方向性が明確に
その結果、のれんと買収関連の無形資産を合わせて1850億円の減損が必要となってしまい、今回の下方修正につながっています。
今後の方針としては買収したPolypore事業を切り離し、ハイポア事業とは別で独立運営していくとしています。
需要が伸びていたハイポア事業の湿式LIBセパレータに資源を投下し積極的に成長を目指していくようです。一方でPolyporeの方は積極投資ではなく、収益改善を進めていくようで、投資の方向性がはっきりしました。
ハイポア事業に関しては民生用、車載用含め販売量が伸びており2000年〜21年までの年間平均成長率は17%と堅調に成長しています。電気自動車化も進む中、中国や欧州、北米を中心に車載用LIBセパレータの市場も大きく伸びる見通しです。
こうした状況下で、セパレータ事業を成長事業として位置付けており、投資の方向性ははっきりさせつつ今後も投資を進めていくと分かります。
ちなみに減損対象となった乾式LIBセパレータに関しても、北米市場ではインフレ抑制法によって北米域内のサプライチェーン構築が必要になっていますが、LIBセパレータに関して北米地域に存在するセパレータの量産工場はCelgardのみだとしており、北米で収益性改善が進む可能性があります。北米市場に注目です。
また、旭化成は多くのM&Aを行っており21年4月以降の主な5件で計52000億円弱ほど、のれんの額は1300億円超に上ります。
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