「いすゞ」に抜かれた日野自動車、過去最大1280億円の赤字 エンジン不正だけではない絶不調の要因:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/3 ページ)
検査不正が発覚して以来、厳しい状況が続く日野自動車。信頼や国内トラック市場シェアトップの座など、失ったものは大きいですが、今後の回復の道筋は見えているのでしょうか。決算書から日本経済を読み解く本連載、今回は日野自動車の現状についてです。
続いて、23年3月期の第3四半期までの業績を、前年同期と比べながら見ていきます。
売上高は3.8%増の1兆1110億円、営業利益は48.6%減の256億円、経常利益は52.1%減の250億円、純利益は188億円の黒字→237億円の赤字と赤字転落してしまっています。
純利益が赤字になってしまったのは、国内の認証関連損失が284億円に上ったことが影響しています。純利益面に関しては今期も不正に関する影響が継続しています。
海外の好調さを国内は不振
続いて地域別の販売台数の推移を見ていくと、主力市場では国内市場が39.9%減、アジア市場が16.9%増となっており、大きく悪化したのは日本だと分かります。
セグメント別の業績を見ても国内市場が売り上げ9.6%減、営業利益72.1%減と不調な中、アジア市場は売り上げ44.8%増、営業利益は110%増と好調です。
国内では主力製品の生産、出荷停止という状況だったことが、業績にも大きく影響しています。
営業利益の変動要因を見ていくと、海外事業の好調を受けて販売面で144億円のプラスの影響、円安を受けて412億円のプラスの影響があるなど好影響は非常に大きいです。
しかし、国内不振によって、販売面で444億円のマイナスの影響があります。さらに市況の悪化を受けて288億円のマイナス影響、原料高の影響が107億円も加わり減益となってしまっています。海外の好調さを上回る国内不振と市況の変化が見られます。
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