2015年7月27日以前の記事
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東芝はどこでしくじったのか 上場廃止と「物言う株主」排除が意味すること過去を検証(5/6 ページ)

東芝が日本産業パートナーズからの買収提案を受け入れ、上場廃止に向けて動き出した。かつては日本を代表する企業だった同社は、一体どこでしくじったのか。中小企業診断士の視点で検証する。

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セブン&アイのアクティビストとは異なる

 「セブン&アイ」(セブン&アイ・ホールディングス、以下セブン)も、アクティビストと対立している。

 セブンのアクティビストの提案は「分割」だ。「セブンイレブンとイトーヨーカドーは切り離すべき」と主張する。セブン側は反対だ。「イトーヨーカドーとセブンイレブンの相乗効果(シナジー)は大きい」と反論する。

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セブン&アイホールディングス(出典:同社公式Webサイト)

 セブンのように、コンビニやスーパー・レストランなど、さまざまな事業を営む「コングロマリット」は、「何で」儲かっているのかが分かりにくい。投資家の好みではない事業が含まれる場合もあり、「売りにくい」のだ。単一かつ高利益事業に集約させることにより、売りやすくなる。だから、アクティビストたちは、会社の「分割」を提案することが多い。

 しかし、東芝のアクティビストたちは、東芝側が自ら提案した「分割案」に「反対」してきた。なぜか。その方が儲かるからだ。分割して売却するより「上場廃止」し、手持ちの東芝株を、東芝側(JIP)に買ってもらった方が儲かるからである。

 今回の買取額は4620円。彼らが望んでいたほどではないが、債務超過時の取得額2628円は超えている。「利害は一致する」と、歓迎する向きが多い。上場廃止の最初のハードルはクリアしたと考えて良いのではないだろうか。

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