GW旅行需要で「スーツケース」販売好調 売り上げは前年比2倍強 取材で分かった売れ筋とは:メーカーに取材(2/3 ページ)
ゴールデンウイークを前に旅スーツケースの販売が好調だ。老舗メーカーのエースなどに直近の売り上げ状況や今後の見通しなどを聞いた。
売れ筋は「機内持ち込み」 大型サイズに意外な需要
直近の売れ筋商品の傾向を聞いた。同社は「『機内持ち込みサイズ』の需要が非常に高まっている」と回答。国内旅行や出張によく利用される35リットル前後のサイズが好調で「全国旅行支援の延長などが追い風となった」とみている。サイズ別の売上比率を見ても「直近1〜3月の売上本数構成比は半数以上が機内持ち込みサイズだった」という。
コロナ禍で売れ行きが鈍化していた「大型サイズ」も22年末から売り上げを伸ばしている。要因の1つとして、入国制限緩和によるインバウンドの急速な回復が大きく関係している。訪日外国人客がお土産を詰め、日本国内で大型のスーツケースを買い足す需要が多いためだ。
大型のスーツケースを購入するのは外国人ばかりではない。同社は「海外旅行や留学、家族の荷物を1つのスーツケースにまとめたいという国内客の需要も見られる」と指摘する。同社は羽田空港や新千歳空港などの空港、「ららぽーと」などの商業施設などを中心に全国23店舗の直営店を展開している。
22年末にセールを実施したところ「旅行予定はまだ立てていないが、来年こそ海外旅行に行きたい」と将来的な需要を見越して大型を購入するケースや「コロナ禍でスーツケースを断捨離したため」「しばらくスーツケースを使っておらず、久しぶりに使おうとしたら壊れていたので買い替えたい」といったコロナ禍ならではの特需がみられた。
同社は夏に向けて、コロナ禍で制限されていた旅行需要が戻る「リベンジトラベル需要」が、さらに増加すると予想している。GW期間中の海外旅行需要はコロナ禍前の2割程度だった一方、JTBは1月に発表した23年全体の旅行動向予測で、海外旅行者数が840万人と予想。対前年比289.7%、19年比40.4%との見通しを示した。このため、同社も「海外旅行需要は特に夏以降回復してくるのではないか」と見ている。
同社は「秋冬にかけてスーツケースの大幅な拡充を計画している。今後もさまざまな旅のスタイルを想定し企画した、多彩なスーツケースを続々と提供する」とし、新商品の展開を強化する方針を示した。
現在の販売状況が続けば、ピークだった19年を上回る可能性がある。これについては「中国からの団体旅行解禁や、国内客で夏以降の海外旅行のさらなる回復があった場合は、これまで以上に伸びる可能性がある」と述べるにとどめた。
関連記事
- ソニーの「着るエアコン」“バカ売れ” 猛暑追い風に「想定以上で推移」
連日の猛暑が続く中、ソニーグループ(ソニーG)が4月に発売した、充電式の冷温デバイス「REON POCKET 3」(レオンポケット3)の売れ行きが好調だ。同製品は「着るエアコン」とも呼ばれており、ビジネスパーソンを中心に売り上げを伸ばしている。 - ファミマの「生コッペパン」1000万食突破 ヒットの要因は“古臭さ”払拭にあり
ファミリーマートが手掛ける「生コッペパン」シリーズの販売が好調だ。同社によると、2月末の発売から20日間で1000万食を突破。なぜ、生コッペパンシリーズを商品化したのか。経緯とヒットの理由を同社広報に聞いた。 - 「スシロー」はなぜ、“食器舐め”本人の謝罪を拒否したのか 広報に聞いた
回転寿司チェーン「スシロー」の店内で、客が卓上の醤油ボトルや湯呑みを舌でなめる動画をSNSに投稿し、物議を呼んでいる。被害を受けたスシローの運営元あきんどスシローは迷惑行為に「刑事、民事の両面から厳正に対処する」との声明を発表。厳格な姿勢を示し、ネット上で賞賛を浴びている。スシローはなぜ厳しい姿勢を貫くのか。理由を広報に聞いた。 - 「楽天モバイル」はなぜ苦戦しているのか 背景に4つの誤算
2022年12月期決算で、過去最大の3728億円の赤字を計上した楽天グループ。その要因はモバイル事業「楽天モバイル」だ。なぜ苦戦を強いられているのか。筆者が考える三木谷構想4つの誤算をひも解く。 - 「工場の製造が追い付かない」──ファミマの「クリームパン」、4週間で650万個販売 好調の理由を広報に聞いた
ファミリーマートが発売した「ファミマ・ザ・クリームパン」の売れ行きが絶好調だ。販売開始から8日で、クリームパン単体で220万個を売り上げた。1秒に3個売れている計算で、工場の生産が追い付かず、品薄になっているとして、一部の店舗では“お詫び”の掲示物をするほどだ。なぜここまで売れているのか。好調の要因を同社広報に聞いた。 - 「生クリーム好き歓喜」──セブンイレブンの“具なし”「ホイップだけサンド」に反響 商品化の狙いは? 広報に聞いた
セブン-イレブン・ジャパンが10月12日から近畿エリアなど地域限定で販売を始めた「ホイップだけサンド」シリーズがTwitterで話題となっている。商品名の通り、ホイップクリームのみを挟んだ“具なしサンドイッチ”となっている。商品化の経緯を聞いた。 - 正念場迎える「楽天モバイル」 財務戦略に潜む苦難の実情
2022年度決算で、楽天グループ(以下楽天)は最終損益で4期連続かつ過去最大となる3728億円の赤字を計上。財務状況を分析した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.