GW旅行需要で「スーツケース」販売好調 売り上げは前年比2倍強 取材で分かった売れ筋とは:メーカーに取材(3/3 ページ)
ゴールデンウイークを前に旅スーツケースの販売が好調だ。老舗メーカーのエースなどに直近の売り上げ状況や今後の見通しなどを聞いた。
「レジェンドウォーカー」販売元 売り上げ250%増
売り上げを伸ばしているのは、老舗メーカーだけではない。リーズナブルなスーツケースブランド「レジェンドウォーカー」の展開で、後発ながら売り上げを伸ばしている日系新興メーカーのティーアンドエスもその1社だ。
同社もエース同様に、直近3カ月(1〜3月)の売り上げが、21年・22年の同月比で250%増。同社広報は「コロナ禍では売り上げがピークだった19年比の約2割にまで落ち込んでいたものの、旅行支援や海外渡航の緩和などで年明け以降、全体では19年比の9割にまで回復してきている」と明かす。
海外工場との関係強化 在庫確保で特需にも対応
ただ、売り上げ自体は「昨年GW頃から売り上げが爆発的に回復してきていた」といい、22年5月の出荷台数は対前年比600%だったという。同社は販売好調な理由について「大きく2点ある」と指摘する。
同社が挙げる1つ目の要因は、エースが取材で語ったのと同様、GWでの旅行需要の高まりだ。政府が旅行支援施策を発表したタイミングにも「売り上げが急増している」という。
もう1つの理由が、安定した供給体制にあるという。同社は製品を中国など海外の工場などで生産しているが、コロナ禍では工場の封鎖を余儀なくされた他、コンテナ不足で商品を輸送できない事態に陥った。当時の教訓を生かし、現地工場とのリレーションを強化。同社は「スーツケースの需要が高まった際に、いち早く供給を再開することができた。他社商品が欠品の中、在庫をしっかり積めていたことも販売が伸びた要因」と説明した。
売れ筋もエース同様、機内持ち込みサイズだ。だが、年明け以降は「中型サイズ、大型サイズの需要も伸びている」と同社。特に大型サイズは「さまざまな規制緩和で海外渡航、帰省目的の需要で非常に伸びている」という。
今後に向けては「コロナ禍で中止が相次いでいた祭りや修学旅行も続々と再開しており、国内旅行の需要はどんどん回復していくと予想している。それに合わせて、コロナ前に人気だった商品のリニューアル版や時代のニーズに合わせた新商品、当社にしかできない特徴的な商品の開発を進めていきたい」と意気込んだ。
JTBは調査で、GW期間(4月25日〜5月5日)の総旅行消費額は9040億円と推計。特に総国内旅行消費額は8526億円と「ほぼコロナ禍前の状態に回復する」としている。マスク着用の自由化などが続く中、コロナ禍で苦戦が続いていた観光業界や関連事業を手掛けている企業にとって、今回のGWは本格的な復活への第一歩になるか。
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