就活オワハラ、なぜなくならない? 学生に「大人の圧力」振りかざす企業の苦しい事情とは:働き方の見取り図(2/4 ページ)
企業が就職活動をする学生に迫る「オワハラ」(就活終われハラスメント)が問題となっている。オワハラが社会問題として広く認知され、流行語大賞にノミネートされたのは2015年。それから8年の歳月を経てもなお、なぜオワハラはなくならないのか。
3つ目は、少子化の影響で新卒層の人口が減少し続け、採用難易度が年々上がっていることがあります。内閣府が発表した「令和4年版 少子化社会対策白書」に掲載されている出生数を確認すると、2023年に大学卒業年齢に達した2000年生まれの数は119万550人です。
それに対し、1993年〜2004年の間に大学卒業年齢に達した就職氷河期世代である1970年〜1981年生まれの平均値は183万6883人。2000年生まれの1.54倍の数です。母数で比較した場合、いまの新卒採用は就職氷河期世代の新卒採用より1.54倍も難易度が高いことになります。それでも何とか苦労して採用できたとしても、内定辞退者が出てしまえば欠員分を採用する難易度もまた1.54倍です。
以上3点のような事情を強く認識している採用担当者ほど、内定辞退を回避するために手を尽くします。それは、採用担当者として責任を果たそうとする行為に違いありません。しかし、それが学生に圧力をかけるという安易な方向に働いてしまうとオワハラになります。
オワハラで採用できてもデメリットしかないワケ
また、採用担当者は説明会から最終選考までずっと学生と接点を持ち続けます。それは、一緒に働く仲間を見つけ出すための活動であり、内定を出した学生はすべからく一緒に働きたいと思える人たちです。それだけに思い入れも強くなりがちで、採用人数目標やコストといった立場上の事情だけでなく、個人的な感情として内定を辞退してほしくない、他の就職活動を終わらせてほしいという思いが強くなったりもします。
そんな思いが高じて学生を引き留めようとする言動を、学生が圧力だと感じたとしたら、採用担当者側は無意識であっても学生からするとオワハラです。オワハラに限らず、あらゆるハラスメントは基本的に、意識的だったか否かにかかわらず受け手側がどう感じたかを軸に判断されてしまいます。
ただ、オワハラになってしまったとしても、結果的に内定辞退を阻止できるのならば会社にとって人員を確保できるというメリットはありそうです。ところが実際には、オワハラによってもたらされるメリットなど何一つありません。
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