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トヨタが“あえて”「全方位戦略」を採る理由 「EV全面シフト」の欧米と一線(2/5 ページ)
トップの座を豊田章男会長からバトンタッチを受けた佐藤恒治社長自身がBEV強化とともに、前社長の「全方位戦略」を踏襲する方針を明言した。欧米勢が「EV全面シフト」を採る中、トヨタの真意を解説する。
発電時にCO2排出 「火力発電」7割超の日本
ただ、BEVそのものがCO2を排出しないとしても、動力源となる電力の生成過程で排出されるCO2削減ができなければ意味がない、という声も根強くあります。
経済産業省が2022年11月に発表した「エネルギー需給実績」では、21年度の発電電力量に占める火力発電の割合は72.9%。日本の電力供給の実情は依然として、石油や天然ガスなど化石燃料に頼らざるを得ないわけで、全面的な電動化(EVシフト)が必ずしも我が国のCO2削減に向けた最善策であるとは言い難い状況のまま、現在に至っていることもまた事実なのです。
先にも述べたように、G7環境相会合で日本は議長国として2035年までに自動車から出るCO2を2000年比で50%以下にするとの宣言に留めたのですが、そこにはトヨタを中心とした日本が先頭を走っているHEVを“脱CO2カー”として温存し、引き続きこれをCO2削減に活用したいという考えが透けて見えるものでもあります。トヨタの全方位戦略は、そんな日本政府の苦しい立場を忖度(そんたく)しつつ掲げているものなのでしょうか。
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