ジャニーズ事務所はどうなる? 企業が「昔の問題」をウヤムヤにする方法:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
ジャニーズ事務所が揺れている。英BBCのドキュメンタリー番組に端を発した性加害疑惑について、藤島ジュリー景子社長が見解を発表した。組織へのダメージを少なくして、逃げ切る作戦に打って出たようだが、うまくいくのだろうか。ジャニーズ側は大きな不安要素を抱えていて……。
時代は変わって「不正」はアウトに
ご存じのように、「コンプライアンス」なんて言われるようになったのはせいぜいこの10年程度の話で、日本企業はパワハラ、セクハラ、ブラック労働が当たり前で、それが企業の成長エンジンになっていた側面もある。
そのような傾向は、オーナー社長や創業者一族になるともっと露骨だった。特に株式上場していないオーナー企業などは、株主からのチェックも働かないし、監査役や社外取締役など名ばかりなので、「オレ様がルールだ」と言わんばかりにセクハラ、パワハラ、公私混同などやりたい放題だった。
だが、当たり前だが社員は誰もそれを諌(いさ)めることはできない。むしろ、日本は同族企業が多いので、創業者の周りには、子どもや親族が固められる。「身内の恥」は一族総出で隠ぺいにかかるので、創業者の犯罪行為はどんどんエスカレートして、社内では誰も見て見ぬふりをする「タブー」となっていくというワケだ。
しかし、時代は変わった。これまで許されたハラスメントや不正はすべて「アウト」となったことで、これまで「会社のため」と沈黙を守っていた被害者が続々と告発するようになっているのだ。特にハラスメントやいじめは何年経過しても蒸し返される。いじめた側は忘れても、いじめられた側はその「傷」を死ぬまで忘れないからだ。
つまり、今回のジャニーズ事務所の問題は、99.7%が中小企業で、同族経営だらけの日本では「石を投げれば当たるほどよくある話」なのだ。だからこそ、社内で危機管理を担う役職の人たちは「明日はわが身」と震えているというわけだ。
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