「空」でも「地上」でも履ける JAL系航空会社が「1足2万円」のスニーカーを発売したワケ:なぜ? 「空の会社」が、足元のアイテム(2/3 ページ)
JAL系航空会社のZIPAIRが4月、ファッションデザイナーと共同開発した1足2万円のスニーカーを発売した。「空の会社」なのになぜ、靴なのか。そして、どんな靴なのか。
パイロットや客室乗務員も着用
発売したスニーカーは、ZIPAIRが運航を開始した当初から、パイロットや客室乗務員、地上係員が着用しているものと同じモデル。ZIPAIRの設立やコンセプトの策定に当たって、客室乗務員や空港職員の働き方、航空会社の次世代を考えた際、「もっと働きやすい形があるのではないか」と考えたのが採用のきっかけだ。
「地上係員だけでなく、客室乗務員もお客さまの重い荷物を持ち上げたり、運んだり、時には走ったりすることがあります。こうした業務内容を考えたとき、パフォーマンスを高める上でスニーカーを導入するのがいいのではないかという意見が出ました」(熱田氏)
従来の客室乗務員といえば、女性であればヒール、男性であれば革靴を着用しているイメージを持つ人も多いはずだ。「過去、航空機を利用した旅行はぜいたくとされた時代があり、お客さまに対する一種のドレスコードとして採用されたのではないでしょうか」と熱田氏は分析する。
スニーカーの企画やデザインに当たっては、世界的なデザイナーの堀内太郎氏と協力。実際に空港で働く職員の姿を見てもらいながらデザインを固めた。また、現場で働く職員から毎週のヒアリングを実施し、集めた意見は数百人規模にも上るという。
スニーカーの特徴は、機能性が高いこと。靴ひもが解けにくいような工夫を凝らし、疲労度の軽減や踏ん張りが効くような仕様にも注力した。特に踏ん張りは、乱気流に見舞われた際や、パイロットが航空機の点検をする際などに効果を発揮しており、現場からも好評だという。
今回、機内販売の際に購入の声が多数寄せられたことや、コロナ禍以降で働き方が変わり、ビジネスカジュアルで着用できるアイテムのニーズも高まっていることから、発売に踏み切った。ZIPAIRの便を利用する人だけでなく、成田空港を発着する同社にとっては縁遠いような関西の人からも購入があるなど、好調な滑り出しを見せているという。
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