ヤマハが「プール事業」から撤退、なぜ? 事業を始めたきっかけが面白い:経済の「雑学」(1/3 ページ)
「ヤマハ発動機がプール事業から撤退する」というニュースがありました。ヤマハ発動機といえば、バイクやボートをつくっているイメージがありますが、なぜプールを手掛けるようになったのでしょうか。歴史を振り返ってみると……。
「ヤマハ発動機がプール事業から撤退する」というニュースがありました。この話を聞いた人の中には「えっ、ヤマハ発動機って、バイクやボートをつくっている会社だよね。プールもつくっていたの?」と思われたかもしれません。あまり知られていないので「ほそぼそとやっていたのでしょ。だから撤退」などと感じられたかもしれませんが、実はそこそこ売れていました。
否、「そこそこ」ではありません。同社は繊維プラスチック(FRP)製のプールを手掛けていて、学校向けでは累計6500基以上も納品していました(2022年末時点)。プールの素材別シェアを見ると、FRPが60%ほどに対して、金属製は40%ほど。その60%ほどの中で、同社のシェアは90%を超えていました。というわけで、やはり「そこそこ」ではありませんね。
このような数字を目にすると「なぜ、撤退するの? もうかってそうじゃないか」といった疑問を感じられたかもしれませんが、プールを含むFRP事業の売上高は36億円(22年度)に対し、営業利益は2億円の赤字。
低迷の要因は2つあって、1つは新型コロナの影響でレジャー施設からの注文が減ったこと。もう1つは、学校でのプール新設が減少していること。人口減の影響はプールにも影響しているようで、今後もさまざまなところで「撤退」の二文字を目にするようになるかもしれませんね。
それにしても、なぜヤマハ発動機はプール事業を手掛けることになったのでしょうか。ここで年配の方に質問です。小学校にあったプールはどんな素材でできていたでしょうか? 「うーん、古い話だからよく覚えていないなあ。学校の先生から『プールサイドを走っちゃダメ!』と怒られたことは覚えているけれど」といった人もいるかもしれません。
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