コラム
ヤマハが「プール事業」から撤退、なぜ? 事業を始めたきっかけが面白い:経済の「雑学」(3/3 ページ)
「ヤマハ発動機がプール事業から撤退する」というニュースがありました。ヤマハ発動機といえば、バイクやボートをつくっているイメージがありますが、なぜプールを手掛けるようになったのでしょうか。歴史を振り返ってみると……。
L字型の「吸い込み口」を開発
最後に、ヤマハ製プールの特徴を一つ紹介しましょう。プールには「吸い込み口」がありますが、何のために設置しているのかご存じでしょうか。汚れた水をろ過機に通して、きれいな水を供給するために必要なモノなんですよね。
昔につくられたプールの多くは、吸い込み口が1カ所しかありませんでした。四角いマスがあって、そのマスを外せば吸い込み口がある。そこに足をつけて、吸い込まれる感覚を楽しんだ人も多いかもしれません。
ただ、吸い込み口が1カ所だけだと、どうしても吸い込む圧力を強くせざるを得ません。残念ながら、吸引力の強さが原因で事故が増えていきました。そこで同社は、何をしたのか。吸い込み口を複数設置して、圧力を分散させることにしました。
あと、吸い込み口はプールの底にペタっと設置されているケースが多かったのですが、同社はL字タイプを開発。側面から底にかけて設置することで、吸い込まれにくい設計にしました。
さらに、吸い込み口にも格子を設置することで、できるだけ安全に使ってもらう工夫を施しました。結果、どうなったのか。プールをつくり始めた1970年代から現在まで、プールでの事故は1件もないそうです。
ヤマハ発動機はボートの底をひっくり返すことで、プールをつくったわけですが、次にどのような事業を始めるのでしょうか。いまはいったん息継ぎをして、再び泳ぎ続けるのでしょう。
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