「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観(3/4 ページ)
「ホワイト離職」現象が、メディアで取り沙汰されている。いやいや、「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観を考える。
ホワイト離職をするのは「自信家」の若者ではない
では、なぜゆるいと辞めたくなるのか? リクルートワークス研究所の分析を簡単に紹介しよう。(参考:「心理的安全性」が高い大企業で、若手の早期離職が加速する皮肉 足りないのは何?)
職場を「ゆるい」と感じている若者は、その会社を嫌いなわけではない。むしろ「どちらでもない」とか「どちらかといえばゆるいと感じていない」という層と比べ、会社への評価は高い。でも「このままでは成長できない」という不安も、他に比べて強く感じている。
これは「心理的安全性は高いが、キャリア安全性が低い」状態だ。
「キャリア安全性」は、以下の3つの要素からなる。
(1)このまま所属する会社の仕事をしていても成長できないと感じる(時間視座)
(2)自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる(市場視座)
(3)学生時代の友人・知人と比べて、差をつけられているように感じる(比較視座)
この3項目に対して「そう思う」度合いが高ければ「キャリア安全性が低い」ということだ。
この調査は大企業の若者が対象だ。それでも、入社3年以内の若者の7割近くが「キャリア安全性」の低さを感じているという。大企業に入ったからといって、将来を楽観視できないのが今の時代の若者たちなのだ。
「職場がゆるすぎて辞める」と聞くと、自分に自信があって「他の会社で力試しをしたい」と転職するような、強い若者の姿がイメージされる。しかし実際は、自信がある若者は少数派で、不安を抱える若者が多いのだろう。
「この会社で、こんなプロジェクトで、こんな成果を出しました!」と言えるような実績がないまま年次だけ重ねていけば、自分は価値のない社会人になってしまう。転職しようにもどこにも拾ってもらえないかもしれない――。そんな不安が、今の会社に見切りをつけ、もっと成長できそうな環境へ移る、という行動に走らせるのだ。
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