インタビュー
“限界集落”をグランピングで町おこし 売り上げが20倍超になった納得理由:人口400人(2/5 ページ)
岡山県津山市・阿波地区。人口400人ほどで、高齢化も進む地域に21年、グランピング施設がオープンした。一体なぜ、観光地でもないエリアにオープンしたのか。背景には、自治体ならではの課題があった。
赤字だったキャンプ場に見出した「勝機」
阿波地区も同様の課題を抱えていた。例えば、ザランタンあば村があるエリアは、もともとキャンプ場として運営していたという。施設が老朽化しているとともに、利用者も少なく、年間の収入は200万円ほど。収益化は程遠く、市の財政から赤字を補填していた。
一方、キャンプ場にはバンガローや管理棟など、グランピング施設へ転用できるものが充実していた。近くに川が流れる自然豊かな環境で、地域内には温泉があるなど、グランピングにおいてアピールポイントとなるものもたくさんあった。
「私は福井県出身で、小さいころによく祖父母の家に行き、山に入って野草を採ったり、川遊びをしたりしたことが思い出に残っています。グランピング事業をする際も、里山や田舎暮らしをアトラクションとして提供したい思いがあり、まさに阿波地区は適していました」(増田氏)
阿波地区は、津山市から車を走らせても40分程度を要する。また阿波地区に向かう道は行き止まりのようになっており、同地区へと向かう人しかほとんど使わない。従来、観光向けの宿泊施設は人流があり、観光地の近くに建てるのが王道だ。しかし、増田氏は阿波地区の環境とキャンプ場を目にして「『田舎暮らしを体験できるリゾート』として勝てる」と判断した。
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