マーケ課題に「万能薬」はない なのに「病気を特定」できない企業が多すぎる:トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾(2/2 ページ)
ビジネスの現場では「マーケティング課題と解決策が合致していない」状況にしばしば遭遇することがあります。なぜこのようなすれ違いが発生してしまうのか? 病気と流行り薬の関係性になぞらえて解説します。
デジタル化で急増する「新薬」
ここでマーケティングコミュニケーションのファネルマップを見てみましょう。下図は現在よく使用されているマーケティングコミュニケーション施策を一覧にまとめたものです。それぞれの箱(施策や手法)は薬です。そして箱が置いてある場所と幅が「薬が効く範囲」を示しています。
ちなみに「売り手発想でつくられるマーケティングファネルなんて古いよ!」「今は顧客の行動や思考・感情を含めたカスタマーエクスペリエンスに注目したカスタマージャーニーマップでしょ!」という意見もあると思います。
しかし、そのカスタマージャーニーマップを正しく作成するためには「顧客がそのときどんな感情を持っているのか?」または「どんな感情を持ってもらいたいのか?」を整理・規定した上で「その状況を実現するための最適な施策(薬)」をマッピングする作業が必要です。
さらに言えば、カスタマージャーニーマップも多くの場合、最上段に「フェーズ」「ステップ」「ステージ」などいう言葉でファネルと似たような購買プロセスが明記されていることがほとんどです。
にもかかわらず、どの施策(薬)が「何(どこ)に効き」「何(どこ)には効かないのか」を正確に把握している方は驚くほど少ない印象です。だから、ファネルもカスタマージャーニーマップも施策(薬)が「きちんとした場所」に配置されないのです。
頭痛に胃腸薬、胃痛に頭痛薬が処方されており、施策を実行する前から「失敗することが決まっている」ものが驚くほど多いのが現状なのです。安易に流行の“薬”に飛びつくのではなく、まずは自社の“病気”を特定することが先決かと思います。
次回はUSP(Unique Selling Proposition)が曖昧な問題について解説します。
著者紹介:株式会社トライバルメディアハウス代表取締役社長 池田 紀行
1973年横浜生まれ。マーケティング会社、ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタントなどを経て現職。大手企業300社以上の広告宣伝・PR・マーケティングの支援実績を持つ。宣伝会議マーケティング実践講座 池田紀行専門コース、JMA(日本マーケティング協会)マーケティングマスターコース講師。 年間講演回数は50回以上で、延べ3万人以上のマーケター指導に関わる。近著『売上の地図』(日経BP)、 『自分を育てる働き方ノート』(WAVE出版)ほか著書・共著書多数。Twitter:@ikedanoriyuki
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