オワコンと呼ばれた映画館ビジネスは、なぜ復活を遂げることができたのか(2/3 ページ)
今年は興行収入100億円超えの作品が複数登場。それとともに「映画館」が存在感を再び高めている。コロナ禍では「オワコン」などと呼ばれていたが、いかにして存在意義を取り戻したのか考察する。
コロナ禍に「オワコン」と呼ばれた映画館ビジネス
ただ、映画館における映画ビジネスは、コロナ禍において「オワコン」や「死ぬ」と報道されていた時期があったのを覚えていますでしょうか?
特に、20年から21年にかけては、ディズニーが配信サービスのDisney+の会員獲得の為に、映画館よりも配信を重視した関係で、ディズニーと映画館の間で冷戦が勃発。
(参考記事:「ブラック・ウィドウ」をめぐる、ディズニーと映画館の「冷戦」の勝者は誰なのか)
コロナ禍があけても、一度動画配信サービスでの映画視聴に慣れた視聴者は、映画館に戻らないのではないかという議論もされていたほどです。
しかし、蓋を開けてみると、コロナ禍が落ち着いてきた2022年は、100億円超えの映画が3本でるなど、日本における映画館の興行収入は急回復。
(参考:【解説】2022年全国映画館の入場者数、興行収入は大幅に増大)
今年に入っても既に100億円超えの映画が3本も生まれるなど、映画館ビジネスは再び活況になっているように見えます。
なぜ、映画館に人が戻るようになったのか?その鍵は「体験」というキーワードに集約されるようです。
音楽のライブを「疑似体験」できる映画がヒット
近年の映画のヒットの傾向を見ていると、まず間違いなく大きい要素と言えるのが「音楽」、特に「音楽のライブ」です。
昨年、興行収入で197億円を超える大ヒットとなった映画『ONE PIECE FILM RED』が、すでに配信サービスで視聴することができるようになっている現在のタイミングで、映画館での異例の再上映が決まったことが象徴といえるでしょう。
(参考記事:映画『ONE PIECE FILM RED』10月に異例の再上映 1ヶ月限定で劇場鑑賞しなかった後悔の声などを受け実施)
特にポイントになるのが、配信サービスで視聴した後に「映画館で見れば良かった」という声が多数聞かれたという点でしょう。
この映画は、ある意味ではウタの楽曲を歌ったAdoさんのライブを疑似体験できる映画とも言える構造になっており、ライブ代わりに何度も足を運ぶファンの人も多かったわけです。
さらに「音楽ライブ」をテーマにした映画というと、映画『BLUE GIANT』もジャズという一般的にはニッチなテーマにもかかわらず、実際のジャズのライブを疑似体験できる音楽のシーンが話題となり、10億円の興行収入を突破してジャズに詳しくない方にも注目されました。
(参考記事:映画『BLUE GIANT』興行収入10億円&観客動員数69万人を突破。)
音楽のライブも、映画館であれば大音量で疑似体験することができます。ある意味、家では難しく、映画館でなければできない「体験」と言うこともできるわけです。
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