X(Twitter)、基本無料サービスを終了? イーロン・マスク本当の狙いを考える:どうなる?(1/2 ページ)
イーロン・マスク氏は9月18日、Xのプラットフォーム全体を有料化することを示唆した。マスク氏にはどのような意図があるのか。そしてXが本当に完全有料化となったとき、何が起きるだろうか。
X(旧:Twitter)の無料サービスの終焉(しゅうえん)が近づいているかもしれない。
Xの大株主であるイーロン・マスク氏が9月18日、プラットフォーム全体を有料化することを示唆した。当初はあまりにも急進的な内容のため「デマではないか」との声もあったが、本人の「Xのシステムの月額使用料を、少額課金する方向に移行している」という趣旨の発言が映像に残っている以上、完全な与太話とはいえない。
マスク氏にはどのような意図があるのか。そしてXが本当に完全有料化となったとき、何が起きるだろうか。
マスク氏、本当の狙いは?
マスク氏が有料化に言及した背景には、長年の懸案であるボット対策や差別主義的なアカウントへの対応強化という意図があるようだが、本音としては万年赤字のXを本格的に黒字化させたいという狙いもあるだろう。
Xは2006年の旧Twitterの創業以来社会的な影響力を増しているが、経済的には厳しい状況が続いていた。公開されている範囲でも、10年から22年までの12年間のうち、純利益が黒字になったのは18年と19年の2年間だけだ。20年以降はコロナ禍による経済活動の停滞や、直近で黒字経営に転じたことに乗じた拡大戦略が仇(あだ)となり、大幅な赤字に転落していた。
有料化して失敗した先行事例
その後、マスク氏による買収によって従業員は8000人から1500人まで減少した。同社の収益構造は幾分か健全化したようだが、Xの影響力とユーザー数を収益につなげきれていないのが現状であろう。
無料で利用可能なサービスは、一定程度のユーザーを抱えたタイミングで有料化に転じることがある。Xとよく似た事例として今回は「Photobucket」の有料化事例をピックアップしてみよう。
Photobucketは米国発の画像管理・動画共有サービスのオンラインコミュニティーだ。日本ではあまりなじみがないかもしれないが、同社のユーザー数はピーク時には1億人を超えていた。同サービスは、かつてのTwitter上で最も有力なサードパーティーツールの一つでもあった。
11年当時のPhotobucketは、旧Twitterとパートナーシップ関係を結んでおり、アップロードされた写真の保存先の大半がPhotobucketであったという。また、全世界で毎日投稿されるツイートのうち1.25%をPhotobucketが占めていた。そんなPhotobucketが有料化したらどうなったのか。この事例から、X有料化の行く末を占ってみたい。
Photobucketは17年に突如として外部サイトへの画像リンクを含め、基本的な機能の多くを有料プランに移行した。その後、23年7月には従来の無料ユーザーのアクセスを遮断。それまでのデータを取り戻すためには最低5ドルの月額課金を要求したのだ。これにより、ユーザーの大部分を占めていた無料アカウント保有者の間で大きな混乱と反発が起こり、ユーザー数の大きな減少を招いた。
現にGoogleトレンドによると、検索キーワード「Photobucket」のグローバルにおける検索ボリュームは、有料化前の15年と対比して95%も減少している。
他にも、無料サービスの内容を大きく縮退することで、実質的に有料プランへの加入を余儀なくさせる手法は、超有名企業の間でも定石となりつつある。
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