脱ホワイトボードで得た“一石五鳥” 日本旅行のハイブリッドワーク戦略(2/3 ページ)
旅行大手の日本旅行は、ハイブリッドワークの推進に向け、さまざまな業務改革を進めている。従来はホワイトボードで社員の在席・勤務状況を管理していたが、代わりにITツールを導入することで、副次的な効果も生まれたという。デジタル化で見えてきた、同社のハイブリッドワーク成功の兆しとは――。
脱ホワイトボードで得られた“一石五鳥”の効果
せきなびは、誰が、どこで、何をしているか――といった状況を可視化するツール。HRテックサービスなどを展開するアスマーク(東京都渋谷区)が運営する。オンライン座席表には、顔写真やプロフィールも載っていて、フリーアドレスやテレワークといった状況下でも、従業員の顔や居場所、ステータスが一目で分かる。
社内ではホワイトボードでも「十分事足りる」といった声もあったというが、三宅さんは在席管理をデジタル化することで、より副次的な効果が生まれることを期待した。その一つが、社員同士のコミュニケーションの活性化だ。
せきなびは、在席・勤務状況だけではなく、社員の趣味なども載せることができる。日本旅行は旅行会社らしく、行きたい場所、好きな海外や都道府県、語学などの項目を設定している。
こうした項目には「コミュニケーションの1歩目のハードルを下げる」効果があると三宅さんは話す。導入前、若手社員からは「役職のある人に話しかけるのはハードルが高い」といった声も聞こえていたという。
「例えば、役職が上の人が『ビールと餃子が好きです』などと書いていれば、敷居が低く感じられ、会話のきっかけにもなる。小さなことだが、本業を進めていく上では大事な要素」だと三宅さん。導入後、フランス語で企画書を作成したい社員が、プロフィールにフランス語が分かると記載している別の社員にアドバイスを受けるなどのケースもあった。単なる在席管理ツールではなく、プラスアルファの効果を生み出す“一石五鳥”の効果を感じているという。
せきなびは当初、東京の営業本部など一部の部署に導入していたが、今年4月からは東京本社、10月からは地方の支店などにも導入し、約2000人いる全社員が利用または閲覧できるようにしている。
本社の社員を対象にしたアンケート調査で、せきなび導入の満足度を5段階で評価してもらったところ、満足度が最も高い「5」や「4」を選ぶ社員が多く、自由回答欄にも「ホワイトボードでは分からない情報が載っていて、社員に話しかけやすくなった」といった回答もあったという。
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