脱ホワイトボードで得た“一石五鳥” 日本旅行のハイブリッドワーク戦略(3/3 ページ)
旅行大手の日本旅行は、ハイブリッドワークの推進に向け、さまざまな業務改革を進めている。従来はホワイトボードで社員の在席・勤務状況を管理していたが、代わりにITツールを導入することで、副次的な効果も生まれたという。デジタル化で見えてきた、同社のハイブリッドワーク成功の兆しとは――。
テレワーク廃し「完全出社」求める大企業も
昨今は、ポスト・コロナで出社回帰の傾向が鮮明となりつつある。大企業からもテレワークを廃止して「完全出社」に切り替えたいという声が挙がっている。
日本政策投資銀行が8月に発表した「2023年度設備投資計画調査」。アフターコロナにおける「理想的な社員の出社率」を尋ねたところ、テレワークを含まない「完全出社」を意味する「10割」と答えた大企業が、前年度(24%)を上回り32%となった。「9割」も15%(前年度11%)で、社員の出社を望む企業が多い実態が浮かび上がる。
こうした中、日本旅行は今後もハイブリッドワークを継続していく方針だ。「働き方の多様性」を訴求することが狙いだという。
「社員のプライベート環境やライフステージを尊重することが大事。離職防止にもつながる」(三宅さん)
コロナ禍で旅行業界が打撃を受けたことは記憶に新しい。日本旅行も20年度(1〜12月)、最終損益が過去最大となる127億円の赤字を記録。「創業以来の危機」(三宅さん)に直面する中で、事業モデルを従来の「ツーリズム事業」(旅行部門)から「ソリューション事業」(「非旅行」部門)へ転換し、ワクチン接種支援など、自治体からの受託業務などにも範囲を拡大。あわせて、在席管理のデジタル化など、DXによる業務改革にも注力してきた。
コロナ禍が追い風となった社内のDX機運を、これからもより進化させていく必要性を三宅さんは感じているという。
「単にデジタルツールを導入するだけでなく、社員の満足度が向上するような形で進めていきたい」(三宅さん)
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