セールステック、何をすれば「成果」が出るのか? 脱・属人営業の号令だけでは意味がない:属人営業からの卒業〜「俺の顧客リスト」はもうダサい!〜(1/3 ページ)
コロナ禍を経て営業の在り方は確実に変わり始めている。個人に依存した属人営業ではなく、テクノロジーを活用し組織として成果を出し続ける仕組みをつくっていかなくてはならない。しかし、セールステック導入に成功している企業は一握りだ。どうすれば、セールステックは意味を成すのか?
営業職に関わっている読者であれば、コロナ禍を経て営業の在り方が少しずつ確実に変わってきているのは実感しているだろう。これまで当たり前だった「属人的な営業活動」を採用し続ける企業は窮地に追い込まれる可能性もあるのではないか。
もちろん、個人のスキルや経験を生かした営業が悪いわけではない。しかし、営業スタイルや製品、企業の在り方が多様化した現代ではさまざまな危険をはらむ。「営業のエースが退職して売り上げが激減」なんて事態も対岸の火事ではないのだ。
最近は、脱・属人化の第一歩として「セールステック」の活用に取り組む企業も増えてきた。セールステックは営業活動におけるITツールを指す。「データベース」と「ロジック」で駆動させるシステムというわけだ。
セールステックを使いこなすには、営業活動におけるロジックの整理と、データベースの構築がキモになる。システム思考で営業を考えよう。営業における「ロジック」と「データ」に向き合わない組織は、永遠にセールステックを使いこなせない。
対になる「営業の属人化」は、営業組織におけるロジックとデータの不在を意味している。そんな状態は組織として健全ではないので早く脱却すべきだ。しかし多くの企業が脱却を期待してセールステックに手を伸ばすが、一筋縄ではいかない。
本稿では、セールステック導入が失敗に終わる原因と、導入成功に向けたポイントやプロセスを解説する。
「ここまで」やらないと、セールステックは意味がない
セールステックは営業工程を言語化、合理的にそろえていくために活用されるものだ。システム化された営業活動の在り方をつくり、それに沿った進め方を現場に徹底させる。
例えば当社openpage(東京都新宿区)では、各商談工程における商談の内訳、商談後に顧客と営業担当とで握るネクストアクションやタスクなどを「システム」に落とし込めるように設計している。
商談の内訳は、主に「ヒアリング内容」「顧客への提案」「ネクストアクション」の3つで構成されている。それぞれの項目で具体的にどのような会話をすべきかを言語化し、データとしてセールステックに保存・管理することで、商談時にシステムに沿った行動が取れているかの判断も可能になる。
また、商談で成約できた場合、顧客が製品導入に向けてその後どのようなアクションを取るべきなのかについても言語化している。営業が介在できない顧客の社内での動き方についても言語化して、セールステックで管理する。
上記のように、営業担当の行動だけでなく、購買担当側の行動も言語化・管理することで、個人の営業スキルに頼らずとも成果が出せるようになっていく。もちろん、1時間の商談のどのポイントを形式知として蓄積するかは自社の事業規模や製品、提案先に応じて調整する必要がある。
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