セールステック、何をすれば「成果」が出るのか? 脱・属人営業の号令だけでは意味がない:属人営業からの卒業〜「俺の顧客リスト」はもうダサい!〜(2/3 ページ)
コロナ禍を経て営業の在り方は確実に変わり始めている。個人に依存した属人営業ではなく、テクノロジーを活用し組織として成果を出し続ける仕組みをつくっていかなくてはならない。しかし、セールステック導入に成功している企業は一握りだ。どうすれば、セールステックは意味を成すのか?
システムと人のバランスは「3対7」
とは言え、営業の会話内容やタスクなどを全て言語化し、型に落とし込み、セールステックで管理して、営業担当に「この通りにやってくれ」と強いるのはストレスがたまる。
程よいバランス感は3対7だと私は考えている。営業活動の3割はセールステックにのっとった型化されたアクションを行い、7割は営業担当の自由裁量に任せることだ。
営業担当のやりがいとは、自身で提案し、自身で顧客の心を動かし、自身で数値を積み上げることだ。この成功体験の全てを奪い取らないよう、7割は裁量権をもって営業できるようにする。
例えば当社では、商談時間の3割は確かに定められたアジェンダや質問項目に沿って話を進めるが、7割は営業担当の独自のアジェンダや質問を進めて良しとしている。
このバランスは新人か、ベテランかで柔軟に変動させている。新人なら7割は型通りに、ベテランなら最低限の1〜2割を型通りに進める。一定の成果が出せるようになるまで、新人はアポ取得の電話やメール、その後の商談の対話内容、商談後の顧客フォローに至るまでほとんどは型通りに進めるようセールステックで管理するのも一つの手だ。
セールステックは管理者からのトップダウンで進めるべき
セールステック利用を徹底するには、営業組織のマネジャーが、セールステックで定められた型通りの営業行動を部下に指導する必要がある。つまり、セールステック導入を成功させるには、まず「営業マネジャー全員への普及」が鍵になる。
セールステックの導入プロジェクトが失敗に終わる理由の多くは、実は「営業マネジャーへの徹底の甘さ」にある。営業マネジャーは自身がトッププレーヤーのため、「我流」を通し、会社が定めた営業の型を軽んじる傾向にある。また、彼らからしたら今まで自力で作り上げてきた勝ち筋を簡単に他人に共有したくないという思いもあるかもしれない。
しかしマネジャーが磨き上げてきた我流は営業組織の財産として言語化・データ化され、セールステックに蓄積し、継承すべきだ。トッププレーヤーの営業ノウハウがなければ企業の営業力はこの先落ちていく一方かもしれない。
我流に固執するマネジャーに、変化・成長していく営業組織の在り方を説けるのは、営業や事業の責任者だけだ。営業の最高責任者が、営業力のあるマネジャー全員に対し、営業メンバーにセールステックの型を持って営業するように強いるべきなのだ。そしてマネジャーは自分を含め現場に徹底させる。
セールステック導入はボトムアップではなく「トップダウン」で遂行しないと意味がないプロジェクトなのである。営業システムを組み立て、運用するには、営業組織全体の方向性を束ねられる「営業トップの意思」が鍵となる。
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