セールステック、何をすれば「成果」が出るのか? 脱・属人営業の号令だけでは意味がない:属人営業からの卒業〜「俺の顧客リスト」はもうダサい!〜(3/3 ページ)
コロナ禍を経て営業の在り方は確実に変わり始めている。個人に依存した属人営業ではなく、テクノロジーを活用し組織として成果を出し続ける仕組みをつくっていかなくてはならない。しかし、セールステック導入に成功している企業は一握りだ。どうすれば、セールステックは意味を成すのか?
セールステック導入の4ステップ
セールステック導入の私なりのフレームワークがある。それは「決意→言語化→合理化→徹底」の4工程だ。
- 決意
- セールステックを用いて、営業トップダウンで、営業組織全体をシステム化していく腹決めである。デジタルセールスや営業DXのプロジェクトを、経営戦略として推進していくことを決意する。
- 言語化
- 営業活動のあらゆるものを言語化する。営業のプロセス、中身、スケジュール、準備、フォロー、タスクといった一切を言語化していく。コンサルタントやテクニカルライターを活用するのも一手だ。
- 合理化
- 自社で言語化した営業テキストを、営業資産としてシステム実装していく。つまりセールステックを活用して、合理的に実務として設計していく。言語化された営業ノウハウをデータにして、格納していく。
- セールステックの製品設定だけでなく、具体的な営業実務のビフォーアフターも整理する。セールステックを活用した営業業務のToBe(あるべき姿)を描いて、セールステックの設定とこれを活用した営業実務の両輪をそろえていく。
- 徹底
- これはトップ旗振りのもと、営業マネジャー全員がセールステックを活用した営業スタイルをメンバーに徹底させる。セールステックがある業務を当たり前の基準にする。
営業のメンバーがセールステックを活用していない、活用が間違っている場合に、マネジャーが指導して修正する。セールステックのデータを見て、営業メンバーに細かくフォローをする。セールステックが当たり前に活用される文化に変えていく。
このような工程を通して、営業組織は「属人化」したものではなく「属システム化」したものになる。人ではなくシステムに頼って営業をするようになる。ロジカルでデータドリブンな営業の在り方に変わっていく。
筆者プロフィール:藤島 誓也 株式openpage代表
ビズリーチにてカスタマーサクセス(CS)チームを立ち上げ後、2018年にopenpageを設立。
CSをデジタル化する「openpage」の製品提供をはじめ、CSの体制づくりのコンサルテーション、SNSでの情報発信、大型オンラインイベントの企画など、米国流のCSを国内で広く啓蒙。openpageではB2B取引の透明性(オープン性)に着目し、「セルフサーブで顧客が考えられる」デジタルセールスの体制構築を支援。営業トーク、製品機能、価格などすべてデジタルの文字情報として起こし、顧客に情報共有可能にしている。
著書に「実践カスタマーサクセスBtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)
note::https://note.openpage.jp/
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