NEC責任者に聞く「生成AIの勝機」 マイクロソフトCEOとの会談で下した決断とは?:世界トップ級の日本語能力(2/2 ページ)
「生成AIをブームで終わらせたくない」と意気込むNECの吉崎敏文CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)に開発方針などを聞いた。
最後は人間がチェックするしかない
AIが学習するデータは、インターネットの公開情報や世に出ている論文などのデータを拾ってきている。そのため、利用者が何もチェックせずに生成AIから出力した結果を利用して公開すると、気付かずに誰かの著作権の侵害になる恐れがあるのだ。欧米では訴訟も多く起きている。これに対し、NECは十分な注意を払っているという。
「NECグループ社員が生成AIを正しく利用できるようにガイドラインを策定しています。生成AIについてのリテラシー教育なども実施し、情報漏えいや著作権侵害にならないように教育しています。生成AIの出力結果については、最後は人間がチェックするしかありません」
現役大学生も参加
NECは生成AIを開発するため、CDO直属の専門家組織「NEC Generative AI Hub」を立ち上げた。100人ほどの技術集団で社内外の優秀な人材を集めている。
この中で核となっているのが、吉崎CDOがインタビューして選んだ約30人で、平均年齢34歳くらいの若いメンバーたちだ。「成果を出した人にはそれなりの報酬を払います」と話す。
その集団の中には東京大学、早稲田大学、筑波大学の学生もいて、そのインターン学生には有償でプロジェクトに参加してもらっているという。吉崎CDOは「昨年やってみたら、学生が作ったアルゴリズムは問題ないどころか、むしろ若い人が作ったものの方が優れていました」と、学生の能力を高く評価している。
加えて最近の学生は、お金よりも社会的価値に意義を感じている部分があると話す。
「学生も自分の勉強になるので、やる気になってくれています。学生は待遇(お金)よりも『役立ちたい』という気持ちを持った人が多く『社会的プロジェクトにも参加したい』と話しています」
3年間で約500億円規模に
NECは今後3年の間に、生成AI関連で約500億円の売り上げを目指す。三井住友グループ内の企業を中心に顧客層を固め、広く売り出していく。吉崎CDOは、有望な分野として「自治体でも生成AIを活用できる業務が多く、可能性は高い」と話した。
「これから生成AIのグローバル競争はすさまじいものになります。官民挙げて一枚岩になって挑んでいかないと、半導体などの国際競争で負けたのと同じ轍(わだち)を踏むことになります。これは何としても避けなければならないと考えています」
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