AIに「全てを任せた」あとに残る未来は? 想定を超える、その脅威:働き方の見取り図(1/4 ページ)
米カリフォルニア州で自動運転タクシーの事故が発生。テクノロジーの急激な発展が、行き過ぎた仕事の代替という新たな問題を生み出している。人間は、AIや機械にどう仕事を任せればよいのか。
「AIに仕事をとられる」「脅威でしかない」
これまでどこか漠然としていた不安が「ChatGPT」などの生成AIの登場で、具体的なイメージとひもづくようになってきた感があります。米ハリウッドでは俳優らが大規模なストライキを起こしました。多くの人が、AIには人間が果たしてきた機能を代替する力があると認めた証拠です。
自動運転の技術が急速に進化する中、米カリフォルニア州では自動運転タクシーの営業が許可されました。機能としてはドライバーの仕事が代替可能なレベルに達しています。性能上の安全性においても、人間が運転するより事故率が低いという調査もあります。
ところが、実際運用すると事故が相次ぎ、同州は自動運転タクシーの営業許可を早々に取り消しました。テクノロジーの急激な発展は一線を越え、行き過ぎた仕事の代替という新たな問題を生み出しています。人間は、AIや機械にどう仕事を任せればよいのでしょうか。
著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”の声のべ4万人以上を調査したレポートは200本を超える。NHK「あさイチ」他メディア出演多数。
現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。
「AIに仕事を代替」外せない視点は?
「AIに人間の仕事が奪われる」といった表現が使われることがあります。実際に、会社の受付は人からタッチパネルやインターフォンなどに置き換わり、カスタマーサポートではオペレーターの代わりにAIチャットボットが導入されるケースが増えました。
確かにAIや機械が人間から仕事を奪ったと言える一方で、AIや機械は、自らの意思で人間から仕事を奪うことはできません。正確に表現すると、誰にどの仕事を担当させるかを決める権限を持つ人間自身が、その仕事をAIや機械に任せたことになります。
仕事の目的は、成果を最大化させることです。人間がAIや機械に仕事を任せるのは、成果を高める上でそれがベストな選択だからに他なりません。テクノロジーが発展するほど機能は高まっていくため、成果の最大化を軸に判断すると、人間の仕事は時間の経過とともにどんどん減っていき「人間の仕事が奪われる」という不安は高まります。
しかし、AIや機械に仕事を任せる上で外せない要件がもう一つあります。安全性です。いくら成果を最大化できても、人に危害が及んでは意味がありません。安全を脅かす要素となるポイントを3つ挙げます。
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