キラキラバイトを希望する大学生を大量採用 どうやって?
この新システムの導入は、採用面でも好影響を及ぼした。
入社後、コミュニケーターとしてデビューするまでに覚えなければならないことが減り、研修期間を10日から7日へと短縮できたという。覚えることが減り操作のハードルが下がったことで、「システムが難しい」「対応できない」と退職につながっていた層が安心して働けるようになったのだ。
「主婦層は応対は大変丁寧でスキルが高いのですが、画面の操作が難しいと断念される方が多くいらっしゃいました。新システムの導入によりそういった方が安心して働けて、当社としては雇用が増える――両方にとってメリットの大きい内容だったと感じています。60歳以上の方で長く働いてくださっている方もいます」(榎田さん)
同社は365日24時間体制である以上、夜間を担当するコミュニケーターも確保しなければならない。夜間は学生をターゲットに人材を集めている。
しかし「コールセンターの仕事はハードルが高い」「もっと華やかなバイトをしたい」と考える学生も少なくない。学生の人材確保に苦戦していたという。
同社は学生を確保するため、福岡のマンモス大学の近くにある古いビルを居抜きで借り、拠点を増やすことに。無機質な事務所というコンタクトセンターのイメージを覆すため、内装はコストをかけ、オシャレなカフェ風デザインにこだわった。
すると友達同士で応募する大学生が増え、現在は約250人の学生が所属する拠点となった。
「大学生は電話応対に慣れていないため、応対力は初めはそこまで高くはありません。画面操作を簡単にすることで、応対力向上に注力できています。大学生のクラスでは、実際に声を出して読み合わせをする研修も実施しています」(菊池さん)
オシャレなオフィスで友達同士ワイワイ働ける楽しさと同時に、就職活動時にジャパネットでの経験を「頑張ったこと」として伝えられること、就職先で大人と会話する力や対応力、礼儀を学べるという価値の高さを評価する大学生が増えている。
また、大学生のアルバイトの間ではリファラル採用が盛んだという。卒業とともに退職する4年生が下級生を紹介するケースが多いので、基本的に求人誌に頼ることなく、紹介制度で採用のサイクルが成り立っている。コールセンターでの学生バイトをきっかけに、卒業後は同社に入社する学生も増えてきた。
「環境の変化もあり、魅力が多いコールセンターになってきているのかなと自負しています」(菊池さん)
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