“パクリ疑惑”続出のSHEINを、なぜ日本の若者は支持するの? ユニクロが訴訟を起こした根本的理由:磯部孝のアパレル最前線(3/7 ページ)
ユニクロは1月16日、模倣商品の販売停止などを求めて、SHEINブランドを展開する3社を提訴したと発表した。パクリ騒動が後を絶たないSHEINはなぜ、若者に支持され続けているのか。
圧倒的安さと品数で急成長したSHEIN
今回の訴訟問題を考える前に、SHEINについて簡単に説明しよう。SHEINは、08年にITエンジニアだった許仰天(クリス・シュー)が創業した南京希音電子商務からスタート。12年から現在のアパレルEC事業の本格展開を開始した。店舗を持たないSHEINはECサイトと公式アプリを通じて、約150以上の国と地域(23年3月時点)でサービスを展開している。
安価でトレンドアイテムが手に入ることから、ミレニアム世代を中心に支持を集めているSHEIN。レディースファッションをメインに、アクセサリーやランジェリー、シューズ、バッグ、美容グッズ、生活雑貨類など幅広いジャンルを取り扱い、毎日6000点以上もの新商品を投入。計60万点以上という、圧倒的な品ぞろえの多さが特徴だ。20年には約100億ドル(日本円で約1兆4700億円)、21年には約157億ドル(同約2兆3000億円)近い売り上げを計上したとも言われている。
筆者の推測だが、SHEINは取り扱い点数の多さや商品開発までのスピード感からして、中国国内にいくつもある巨大卸売り市場の商品を、EMS(国際郵便の1つ)やFedEx(世界大手の物流企業)などの宅配便を使い送付。一般消費者に「個人輸入」という形で届けることで関税を免れ、他の大手チェーンより安く提供できているのだろう。日本国内向けの場合、課税価格が1万円以下の輸入であれば、関税及び消費税が免税されるのである。
このようにSHEINは、世界のアパレルの生産工場が集まる中国・広州の巨大卸売り市場を、まるで自社の倉庫や店舗のように活用。商品集荷から出荷においては、郵便や物流といった他社のインフラを利用している。自社で倉庫や店舗、輸送コストを負担せずとも、ラストワンマイルまで商品を送り届けられるサプライチェーンを築けている点も特徴だ。
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