“パクリ疑惑”続出のSHEINを、なぜ日本の若者は支持するの? ユニクロが訴訟を起こした根本的理由:磯部孝のアパレル最前線(4/7 ページ)
ユニクロは1月16日、模倣商品の販売停止などを求めて、SHEINブランドを展開する3社を提訴したと発表した。パクリ騒動が後を絶たないSHEINはなぜ、若者に支持され続けているのか。
SHEINのパクリ騒動が後を絶たないワケ
SHEINは、今回のユニクロからの訴訟以外にも、さまざまな国で多くのブランドから訴えられている。ルイ・ヴィトン、ラルフローレン、ステューシー、ドクターマーチン、無印良品、H&Mと枚挙にいとまがない。すでに和解が成立しているケースもあるようだが、商標権侵害や模倣品販売が後を絶たないのは、中国の巨大卸売り市場を背景にしていることに起因していると考えられる。
そもそも中国各地にある巨大卸売り市場は、中国国内小売り店向けに存在している。東南アジアやアフリカ辺りから、バイヤーが買い付けにも来る。一般消費者への小売りはしないのが基本だが、中には小売りをしてくれる店もある。ただ、市場そのものの規模感が日本とは全く違う。
なかなか公式なデータが見つからないのだが、上海市の七浦路にある市場でも大小6500店舗、1日当たりの来場者数は10万人、同出荷量は200〜300トン。それが広州の市場ともなると約30万平方メートル(東京ドーム7個分)の広さに、大小3万社以上、62の専門市場で構成される。総従業員数は30万人、年間取引高が約4兆円の規模だという。はたして、大小3万もの会社が企画、生産、仕入れている商品に、どれだけガバナンスやコンプライアンスが効いているのか。
ネットなどで売れていると思わしき商品を小ロットで生産できるところもあれば、外国企業がオーダーして残った生地や付属品を使って生産された商品、発注オーダー以上に増産されてしまった商品、外国基準で不良品となった商品など、いわくつきの商品も流通していると推察する。私が上海に駐在していた頃の話だが、ローカルの洒落っ気のないバイク便のお父さんが、裏原のかっこいい憧れブランドのジャンパーを着て配達している姿に出くわしたりもした。
上記を踏まえて、1日6000点以上の新作商品が登場するSHEINに、ガンバナンスやコンプライアンスを求める方が難しいのだ。現在は、総取り扱い商品数から、商標、意匠侵害、模倣商品として訴えられる件数を算出して、ロス率として見なしているのかもしれない。
その一方で、SHEINは表参道にショールーミングストアを展開したり、若手デザイナーブランド立ち上げ支援プログラム「SHEIN X グローバル デザインコンテスト」を開催したりしている。それはまるで、多くの訴訟問題を抱えるマイナスイメージを払拭するかのような取り組みに見えなくもない。
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